ドミトリーとドクターは夜になると、星と星座で今の位置とボストーク基地の場所を計算する。
ドミトリーは科学的に計算。ドクターはイヌイット独特の計算で。
南極の降水量は年に70ミリしかなく、雨はほとんど降らない。
夜は真っ暗闇だし、空気も清んでいるので星は恐ろしい程、綺麗である。
あと3日か、どんなにかかっても5日でボストーク基地に着くだろう。
ここまで25日近くは歩き続けて来た。
ノーマンはドミトリー含めて誰もが限界に近かった。
睡眠も断片的に目覚めては手足を動かしてないと、凍傷にかかってしまう。
疲労の蓄積で目覚めず凍死する者も多くなってきた。
それでも歩き続けて来たが、風と地吹雪が凄くなり、だんだんと視界が悪くなる。
ドミトリーが先頭で10歩進み、後ろにいるドクターに先頭を譲り、最後列に並ぶ。
それを繰り返しながら進むのだが、列がだんだんと短くなってる気がした。
墓標を持つ者も少なくなった。
次にクラックがあったら…ドミトリーはその不安を押し込めた。
ついに完全にホワイトアウトな状態になる。
わずか2メートル先が雪吹雪で見えないのだ。
何人いるのかも分からず。
シェルターで休憩する事にした。