sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.24
ドミトリーとドクターは夜になると、星と星座で今の位置とボストーク基地の場所を計算する。 ドミトリーは科学的に計算。ドクターはイヌイット独特の計算で。 南極の降水量は年に70ミリしかなく、雨はほとんど降らない。 夜は真っ暗闇だし、空気も清んでいるので星は恐ろしい程、綺麗である。 あと3日か、どんなにかかっても5日でボストーク基地に着くだろう。 ここまで25日近くは歩き続けて来た。 ノーマンはドミトリー含めて誰もが限界に近かった。 睡眠も断片的に目覚めては手足を動かしてないと、凍傷にかかってしまう。 疲労の蓄積で目覚めず凍死する者も多くなってきた。 それでも歩き続けて来たが、風と地吹雪が凄くなり、だんだんと視界が悪くなる。 ドミトリーが先頭で10歩進み、後ろにいるドクターに先頭を譲り、最後列に並ぶ。 それを繰り返しながら進むのだが、列がだんだんと短くなってる気がした。 墓標を持つ者も少なくなった。 次にクラックがあったら…ドミトリーはその不安を押し込めた。 ついに完全にホワイトアウトな状態になる。 わずか2メートル先が雪吹雪で見えないのだ。 何人いるのかも分からず。 シェルターで休憩する事にした。
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