sadojam 小説
中国雲南省保護地区.1
中国は、中国雲南省の南の山奥にある秘密刑務所を、ノーマン保護地区に指定した。 高い塀と、底無しともいえる深い堀。その一ヶ所に吊り橋と巨大だが頑丈な鉄の扉。 鉄の扉が重厚な響きをあげて開く。 チャンは約一ヶ月ぶりにその音を聞いた。 扉を開く音は新しいノーマン達が来る事を意味してた。 [勝手に殺すなよ。今度すぐに殺したらただじゃすまねぇからな] チャンの隣にいたツァイが、噛みつくように言った。 チャンはツァイを無視した。 カオもツァイに返事を返さなかった。 ツァイは舌打ちをした。 カオの取り巻きの男達が舌打ちに反応し、ツァイに対し剣呑な雰囲気を出す。 カオはジロリと取り巻き達をひと睨みした…相手にするな…取り巻き達の剣呑な空気は消えた。 ツァイは首をすくめ手を広げた。 中国雲南省保護地区は、カオ、チャン、ツァイの3人がそれぞれ対立しながらも生き延びていた。 それぞれが本省人、外省人、韓国人のボス。 これから来る100人のノーマン達の出身地で勢力がまた変わる。 この保護地区はカオのグループ…本省人が多い。だがほとんどが高齢であり、ボスのカオも70歳だと言われてる。 外省人のボスであるチャンは自称元公安警察で、冷酷な暴力でボスになり上がった男である。 元韓国人ツァイはイギリスと韓国人を両親に持ち、元韓国人と、本省人でも外省人でもない人間をたばねている。 自称、26歳。元蛇頭(中国マフィア組織)の幹部の息子。と誰かれかまわず吹聴している。 だがノーマン達には人間世界の過去は意味をなさない。 必要なのは今を生き抜く事だけ。 寝てる間に刺される事も少なくはない世界に明日の保証もない。 そう。必要なのは今を生き延びる事だけなのだ。
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