sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.28
突然、先頭が騒然となった。 何事かとドミトリーとドクターが列から外れ先頭に向かう。 向かう足が止まった。 目視出来る距離にクマが五頭いたのだ。 [しゃがめ] ドミトリーが言葉にする前にドクターが皆に言った。 後列にいた一人がドクターの言葉を聞きそびれ逃げ出した。 それを見たノーマンが次々とバラバラに逃げ出す。 クマがこちらに気付いた。 ドクターが[バカが]と毒づくのをドミトリーは聞いた。 五頭のクマが一斉にこちらに向かって来る。 ドクターはツエ代わりの先が鋭くとがった骨を振り上げ、目の前の逃げようとしていたノーマンの背中に突き刺した。 ドミトリーはドクターの後を追うように逃げた。 ドミトリーが後ろを振り返ると、ドクターに刺されうずくまってるノーマンが、クマに薙ぎ倒されていた。 まるで空気人形のように軽々と宙に振り回されている。 後ろに気を取られたせいで、ドクターとの距離が少し離れた。 走るスピードを早めた。 突然ドクターが走るのを辞めた…ドミトリーはドクターにぶつかった。 ドクターが止まったのは、目の前に急な斜面が広がっていたからだ。 2人は斜面をもつれながら転がり落ちた。
ギフト
0