sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.29
かなりの距離を滑り転がっていった。 肩を打ち、腰を打ち、鼻や口に雪が詰まる。 止まった時には2人共ウメキ声をあげていた。 ドミトリーは全身の痛みに耐えながらも無理矢理起き上がる。 骨折はしてないみたいだ。 ドクターに声をかけた。 ドクターは足首をネンザしたようだ。 荷物が全く身につけてなかった。 貴重なフードサプリも装備も滑った斜面に転々と散らばっていた。 斜面は1キロ位の距離があった。 骨折しなかった事はとても運が良かった。 ドミトリーは身体を色々動かし、本当にどこも骨折してないか何度も確かめた。 ドミトリーとドクターの周りには雪しかなかった。 見渡す限り白面の雪世界で、動いてるモノは、たった2人のノーヒューマンだけだった。 ポケットの底に残ってた数粒のフードサプリを食べる。雪を口に放り込む。 2人一緒に入れるシェルターを作る。 斜面から見えないように。 クマがこの斜面を降りて来るとは思えないが、用心して損はしない。 ドクターのネンザの具合を見て、滑り落ちた斜面を登らなければならない。 斜面を見上げる…目の前が暗くなりそうな程大変な作業になる事には間違いなかった。
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