sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.32
基地を探す事より食料…フードサプリを持ったノーマンを捜す事が最優先事項になった。 ドクターも赤い血のついた服をかぶった。 ネンザは治ったのか、我慢してるのかは、深くかぶったフードのせいで顔が分からなかった。 だがドミトリーの歩く速度に、ドクターはしっかりと着いて来ている。 風を正面に、ただただ進む。 すると前方に煙が見えた。 赤い服を脱ぎ、かがむようにソロソロと近づく。 4人のノーマンが火を囲み座っていた。 ドミトリーの目に殺意が宿る。 ドクターが言った。 [そんな目をしたらバレるぞ] ドミトリーは雪で顔を乱暴に洗った。 それから立ち上がって赤い血のついた服を振り上げ、4人に気付かれるように大きく左右に振った。 ドクターはわざと足を引きずる仕草をした。 4人を油断させるために。 つまりは4人から食料を奪うために。 近づくと4人の顔からは安堵の表情が見られた。 4人ともどこに進めばよいのか途方に暮れていたのだった。 火で身体を暖め、雪を溶かしたお湯を飲み肉体を温め、6人は歩き始めた。 2人は生き延びるために。 4人は殺されるために。
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