sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.44
脱出する事が突然に決まった。 タンクの中に重油が少し残ってたのを汲み取り、発電機で初めて電気をつけた日の夜だった。 ドミトリーが発電機を消そうと外に出ていたら、ドクターが血相を変えてやってきた。 [事務所の赤いランプはなんだ?] ドミトリーは不安を感じ、急いで事務所に駆け出す。 ドクターは事務所の机の下を指差す。 隠れるように、小さい赤いランプが点灯していた。 机の下のイスや段ボールをどかし屈み込む。 小さい白いBOX…ドライバーで箱を開ける。 [やられた!] ドミトリーは声をあげ、ドライバーで中の機械を刺し壊した。 白いBOXの機械は、発信機か何か。 誰かが電気を着けたら、どこかに発信される機械だった。 誰かが…電気を着ける事が出来るのは人間と、元人間であるノーマンしかいない。 どこか…基地か軍かに受信機はあるだろう。 人間も当然、ノーマンの保護地区からの脱出の対策はしてたはずだ。 これもその1つだった。 電気を着けてから3時間は経っている。 心配な顔をしてるドクターに説明し、すぐ脱出する事を決めた。 この基地から、この快適さから離れるのは身が引き裂かれる思いだったが、捕まりノーマン保護地区に戻る事になれば…死んだ方がマシだった。
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