脱出する事が突然に決まった。
タンクの中に重油が少し残ってたのを汲み取り、発電機で初めて電気をつけた日の夜だった。
ドミトリーが発電機を消そうと外に出ていたら、ドクターが血相を変えてやってきた。
[事務所の赤いランプはなんだ?]
ドミトリーは不安を感じ、急いで事務所に駆け出す。
ドクターは事務所の机の下を指差す。
隠れるように、小さい赤いランプが点灯していた。
机の下のイスや段ボールをどかし屈み込む。
小さい白いBOX…ドライバーで箱を開ける。
[やられた!]
ドミトリーは声をあげ、ドライバーで中の機械を刺し壊した。
白いBOXの機械は、発信機か何か。
誰かが電気を着けたら、どこかに発信される機械だった。
誰かが…電気を着ける事が出来るのは人間と、元人間であるノーマンしかいない。
どこか…基地か軍かに受信機はあるだろう。
人間も当然、ノーマンの保護地区からの脱出の対策はしてたはずだ。
これもその1つだった。
電気を着けてから3時間は経っている。
心配な顔をしてるドクターに説明し、すぐ脱出する事を決めた。
この基地から、この快適さから離れるのは身が引き裂かれる思いだったが、捕まりノーマン保護地区に戻る事になれば…死んだ方がマシだった。