いつもと正反対の願いを祈った。
[頼むから吹雪いてくれ]
吹雪けば捜索は困難になる。逃げのびる可能性は高まる。
食料…フードサプリは一ヶ月以上分はある。
だが神様はいつも聞いてはくれない。いつだって人間の味方だ。
静かな空気ときらめく星々。
変わらない雪景色。
飛行機の音がだんだんと大きくなる。
無数の星の瞬きの中に赤い人工的な光が見えてきた。
[一体、何機いるんだ?]
通風口から空を覗いたドミトリーは呟いた。
点滅する大きく赤い光が2。小さな赤い光が3。いや、もっと光っている。
[1 2、3…7機もいやがる]
ドミトリーは絶句した。
ノーマンの脱走にこれほどの部隊を使うのは、その重大さ、重要さはかなり深刻な問題。といえるのか?
飛行機の編隊が輪郭を帯び、肉眼でも見えるようになってきた。
ずんぐりとした大型飛行機2機に、ヘリコプターが5機。
みるみるこちらに近付いてくる。
このまま通り過ぎ、基地に向かうはずだ。
このまま隠れるか、すぐさま基地の反対に逃げるべきか。