sadojam 小説
南極ユーリ保護地区.47
いつもと正反対の願いを祈った。 [頼むから吹雪いてくれ] 吹雪けば捜索は困難になる。逃げのびる可能性は高まる。 食料…フードサプリは一ヶ月以上分はある。 だが神様はいつも聞いてはくれない。いつだって人間の味方だ。 静かな空気ときらめく星々。 変わらない雪景色。 飛行機の音がだんだんと大きくなる。 無数の星の瞬きの中に赤い人工的な光が見えてきた。 [一体、何機いるんだ?] 通風口から空を覗いたドミトリーは呟いた。 点滅する大きく赤い光が2。小さな赤い光が3。いや、もっと光っている。 [1 2、3…7機もいやがる] ドミトリーは絶句した。 ノーマンの脱走にこれほどの部隊を使うのは、その重大さ、重要さはかなり深刻な問題。といえるのか? 飛行機の編隊が輪郭を帯び、肉眼でも見えるようになってきた。 ずんぐりとした大型飛行機2機に、ヘリコプターが5機。 みるみるこちらに近付いてくる。 このまま通り過ぎ、基地に向かうはずだ。 このまま隠れるか、すぐさま基地の反対に逃げるべきか。
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