sadojam 小説
アフリカジンバブエ保護地区.2
汗がダラダラと身体から湧き出る。 拭(ふ)いても拭(ぬぐ)っても汗は止まらない。 暑さだけのせいではなかった。 ニカウ・ダガウは、ついに当たりを引いてしまった。 だがニカウにとってはその当たりはハズレであった。 ニカウは一級戦士(ファーストファイター)だった。 一級戦士とは一度も戦った事のないノーマンの事。 一級戦士は、神に見放された男。または逆に、神に愛された男。と呼ばれた。 その境はハズレを20回引けたかどうかだった。 最初は2人に1人が当たりを引き、当てた者は戦いに向かう。 二回目は3分の1の確率…3人に1人が戦いへ。 三回目は4人に1人が戦いを。 一回ハズレを引く度に1人ずつハズレが増えていく。 9回目は10人に1人が当たりを引く。 そして10回目からは再び元の確率に戻り、2人に1人が当たりを引く事になる。 その繰り返しを5回…45回連続で当たりを引かなかった者は一級市民(ファーストピープル)となる。 一級市民は、死ぬまで戦いに参加する事はなく、スタジアムの整理や、敗者の片付けなどをする平穏な日々を過ごせる。 だが、その平穏な生活が[当たり]かどうかは分からない。
ギフト
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