汗がダラダラと身体から湧き出る。
拭(ふ)いても拭(ぬぐ)っても汗は止まらない。
暑さだけのせいではなかった。
ニカウ・ダガウは、ついに当たりを引いてしまった。
だがニカウにとってはその当たりはハズレであった。
ニカウは一級戦士(ファーストファイター)だった。
一級戦士とは一度も戦った事のないノーマンの事。
一級戦士は、神に見放された男。または逆に、神に愛された男。と呼ばれた。
その境はハズレを20回引けたかどうかだった。
最初は2人に1人が当たりを引き、当てた者は戦いに向かう。
二回目は3分の1の確率…3人に1人が戦いへ。
三回目は4人に1人が戦いを。
一回ハズレを引く度に1人ずつハズレが増えていく。
9回目は10人に1人が当たりを引く。
そして10回目からは再び元の確率に戻り、2人に1人が当たりを引く事になる。
その繰り返しを5回…45回連続で当たりを引かなかった者は一級市民(ファーストピープル)となる。
一級市民は、死ぬまで戦いに参加する事はなく、スタジアムの整理や、敗者の片付けなどをする平穏な日々を過ごせる。
だが、その平穏な生活が[当たり]かどうかは分からない。