sadojam 小説
中国雲南省保護地区.5
チャンもツァイもカオもそれぞれが得意の武器をもっている。強いか弱いかは別にして。 例えば、チャンは細く固いピアノ線を絶えず腕に巻いている。 指先の出た皮手袋を常にしていて、いつでも相手の首に巻く事が出来る。 窒息死よりもピアノ線で首を絞め切るのだ。 カオは絶えずそばに従順で屈強な男達を置いている。カオはその男達を孫と呼び、その孫達はカオを爺さんと親しみを込めて呼んでいる。 ツァイはカオとチャンに相手にされてない。要は、カオやチャンのグループに入れないよそ者の子守りをさせる為にツァイをボスにしているだけである。 特にチャンからガキ扱いされている事はツァイ自身も分かっている。だが歯向かうのは明らかに不利なので怒りを表に出さない努力をしている。 彼の武器は若さ。しかしそれが一番強い武器なのかもしれない。 老齢であるカオだけが充分理解していた。
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