sadojam 小説
アフリカジンバブエ保護地区.4
ニカウが聞き慣れた、低くくぐもったドラの音が三度鳴った。 これから殺し合いが始まる合図の音。 ニカウは昨日まで、このドラの音を今か今かと待ち望んでいた。 他人の殺し合いを観る為に。1日分のフードサプリを賭けた結果を早く知りたいために。 あれだけうるさかった喚声が静かになっていく。 暑い日差しの中、薄汚れてはいるが、白いローブをまとった肌黒い男が現れて言った。 [偉大なる神の慈悲により勝者には明日の太陽を、敗者には永眠なる幸せを与えよ] それから両手を空にかかげた。 2メートルはある大男が闘技場に降りて来る。 片手に2つのカタナを持って。 ニカウと、反対側にいるもう一人の方にそれぞれカタナを渡す。 その大男は多量のエンドルフィン分泌異常により、脳みそが少し溶けている。 闘いは回数にもよるが、初めての試合は30分。 30分以内に決着が着かない場合は、この大男が2人を殺すのだ。 この大男は2人の引き分けにいつも賭けている。 大男はノーマンを殺す事を生き甲斐としている。殺しによるエンドルフィンの放出を望んでるのだ。 52戦勝ち抜いた三級戦士(サードファイター)の1人であった。
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