ニカウ
[あ、危ねぇじゃねぇかよ]
白人
[ちゃんと受けれたじゃねぇか。とにかく死にたくなかったらこうするしかねぇんだ]
ニカウが何か話す前に白人は言った。
[俺が逃げ回るから、お前は追いかけるんだ。それで時間が稼げる。分かったな?]
白人はニカウの返事を待たず、後ろを振り向き駆け出した。
ニカウはよく分からないまま、とりあえず白人の後を追う。
見物者は逃げ回る白人を見て笑い、ヤジを飛ばす。
白人の逃げ回る演技は本物に見えた。
ニカウは白人に付かず離れずの距離で追いかける。
ニカウが、こんなんで本当に助かるのかよ…と思った瞬間、白人は急に振り返り、追いかけてきたニカウに向けてカタナを突き刺した。
カタナはニカウの胸の辺りに、サヤに収まるかのように、サクッと突き刺さった。
ニカウの唖然とした顔に向かって、白人が言った。
[悪いな。俺は死にたくねぇんだよ]
ニカウが何かを喋ろうと口を開こうとした時、白人はカタナを引き抜いた。
ニカウの口から大量の血が噴き出し、ニカウは話す事が出来なかった。
ニカウは前向きに倒れ崩れ、二度と動かなくなった。