三戦目の戦いの鐘が鳴る。
ダニエルは一回だけ力での勝負をしてみようと思った。
いつまでもあんな誤魔化しは効かない理由もあるが、なによりも自分の力量をきちんと把握しておきたかったからだ。
相手はダニエルよりも背が高いがひょろ細く痩せた男。
わざと弱そうに見せてるのかもしれない。
落ち着けとダニエルは自分に言い聞かせるも、鼓動はデタラメな心音を勝手に奏でる。
互いが自分の間合いに入るまでジリジリと詰め寄る。
向こうの間合いが長かった。
相手がカタナというより、長く細いサーベルのような剣を鋭く刺してくる。
振り回すより突き刺す方が隙が少ない。
相手の手の長さも有効な武器だった。
相手が二度、三度とフェンシングをやるようにダニエルに剣を刺しにかかる。
反撃するにはダニエルの腕とカタナの長さでは届かない。
ダニエルは器用にかわす。もしくはカタナで剣をはじけ受ける。
ダニエルの額から流れ出る汗が目に入る。
一瞬の躊躇…汗を拭おうとした左腕に相手の剣が突き刺さった。
物凄い痛みでダニエルは後ろによろめく。