sadojam 小説
アフリカジンバブエ保護地区.19
三戦目の戦いの鐘が鳴る。 ダニエルは一回だけ力での勝負をしてみようと思った。 いつまでもあんな誤魔化しは効かない理由もあるが、なによりも自分の力量をきちんと把握しておきたかったからだ。 相手はダニエルよりも背が高いがひょろ細く痩せた男。 わざと弱そうに見せてるのかもしれない。 落ち着けとダニエルは自分に言い聞かせるも、鼓動はデタラメな心音を勝手に奏でる。 互いが自分の間合いに入るまでジリジリと詰め寄る。 向こうの間合いが長かった。 相手がカタナというより、長く細いサーベルのような剣を鋭く刺してくる。 振り回すより突き刺す方が隙が少ない。 相手の手の長さも有効な武器だった。 相手が二度、三度とフェンシングをやるようにダニエルに剣を刺しにかかる。 反撃するにはダニエルの腕とカタナの長さでは届かない。 ダニエルは器用にかわす。もしくはカタナで剣をはじけ受ける。 ダニエルの額から流れ出る汗が目に入る。 一瞬の躊躇…汗を拭おうとした左腕に相手の剣が突き刺さった。 物凄い痛みでダニエルは後ろによろめく。
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