sadojam 小説
中国雲南省保護地区.17
逃げ出していたツァイは少し離れた場所にある木の陰から、殺し合いの様をずっと見ていた。 チャンが倒れたのを見て喜び独りゴチた。 [ざまぁみろ。相討ちでやんの。俺をバカにした罰だ] 殺し合いはしたいヤツだけが殺し合えばいい。 その事にツァイは疑問すら持たなかった。 ロンが孫に崖へ放り投げられるのを眺めた後、やっと木の陰から出て、橋を渡ってるカオに近付いた。 カオに媚びるようにツァイは笑顔を見せた。 足元で唸り声…チャンはかろうじて生きていた。 えぐられた両目の眼球がチャンの顔にこびりついている。 ツァイが得意気に言った。 [俺が息の根を止めてやるぜ] チャンを橋から落とす為に何回も死にかかってるチャンを蹴りあげた。 カオは汚いモノを見るような目つきでツァイを見た。それから孫に何かを囁いた。 ツァイが笑いながらチャンを崖に蹴り落とし、カオの方に顔を向けた。 ツァイの顔から笑いが消えた。 カオと孫達は攻撃的な雰囲気を出していた。 ツァイはすぐさま振り向き逃げ出した。 弱い動物は敵意や危機感を感じる能力が抜群に優れている。 ウサギやシカのように。
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