[あの野郎。許せねぇ]
罵倒と共に地面を当たり次第蹴飛ばしながら、ソイツがダニエルの元に戻って来た。
[この世界じゃ信用や信頼はクソの役にも立たない]
ダニエルは彼に声をかけた。
[俺のサプリが無いんだ。1500個も貯めたのに]
ダニエルは顔には出さずに笑った。彼のサプリはダニエルの秘密の隠し場所にある。1500個どころか300個にも満たないサプリ。
見栄を張るヤツは現実を直視しない。自分に都合のいいように観る。
ダニエルは彼の怒りが少し収まるのを待って声を出した。
[殺そうぜ]
彼は唖然とした顔をダニエルに向けた。
[俺はドッグを殺してやる。お前はサミーを殺す。今夜の中に]
[なっ、]
[そうすれば俺もお前も不戦勝で生き延びる事が出来る。とりあえずはな]
[そ、そんな…]
彼はダニエルの投げつけた言葉に頭がついていってない。
考えさせて迷わせてはいけない。ダニエルはたたみかけるように言った。
[サミーが先にお前を裏切った。お前は馬鹿にされたんだよ。いいカモだと思われてるんだ。許せないだろ?怒りは溜めたらダメなんだ。冷静じゃなくなる。サミーを殺る時には俺も付いてく。俺がドッグを殺る時にはお前が付いてくる。一人だと失敗する可能性が高いが二人ならまず失敗しないだろう]
ダニエルは立ち上がり、彼を促す。
彼の目は怒りに、復讐の炎に暗く燃えてた。