夜も真夜中、ダニエルの元にドッグがやって来た。
片手に月明かりで鈍く光る剣を持っていた。
[よく逃げなかったな。殺されるのを覚悟したのか?]
ドッグは笑いながら言った。
[物騒なモノをしまえよ。逃げるならとっくに逃げてる。それに俺はウソはつかないんだ]
[まだくだらん事を言ってるのか?お前はたいしたヤツだよ。で俺の女の名前は?]
ドッグは剣をしまいながら言った。
[まぁ座れよ。座ったら教えてやるよ。夜中だから声が響くんだ。誰にも聞かれたくない]
ダニエルの小さくなる声にドッグは座る。
[ドッグ、お前の女の名前はキャシー。お前の本名はドギー・ブロイヤーズ]
今度はダニエルがドッグの筋肉の束の肩を掴んだ。だがドッグはピクリとも動かなかった。
[ダニエル…お前、本当に伝えたのか?]
あっけにとられた顔をしたドッグに更にダニエルは答えた。
[娘は5歳でマリア。いい名前じゃないか。母さんも心配してる。父さんはいないんだな。皆元気だし、お前の事を毎日神様に祈ってる]
少しの沈黙の後に再びダニエルは言った。
[俺はウソはつかないんだ]
ダニエルは不適な笑みを浮かべた。
[どうやって?]
ドッグの当然だる質問に、ダニエルは笑みを消した。
[なぁ、ここの長老に会うにはどうしたらいいんだ?闘いに勝ち抜くしかないのか?]
まだ呆けているドッグの質問に答えず、ダニエルは質問で返した。