sadojam 小説
アフリカジンバブエ保護地区.35
ジンバブエ保護地区は4つの系統に区分され、それぞれを統括する区長がいた。 その4人の区長とムダウ・カレラにダニエルは説明した。 ジンバブエ保護地区は高い外壁ではないが外側に深い堀がある。 だが堀はまだ未完成で、国は堀窟作業に民間人を雇っている。失業者の救済措置も兼ねた国際工事。 花火が5発鳴ったのは5日後に脱獄しろという意味。 外壁を乗り越える場所は花火の見えた場所。 ロープもない保護地区だが土を階段のように積み上げていけば可能。 壁を乗り越えてもマスターズファミリーの味方がほとんどなので争いもなく堀は乗り越えられる。 乗り越えた後は各々の自己責任。 会議は一晩続き、当然のようにダニエルの信憑性の問題も上がった。 ダニエルを信用したのは、マイケルとモールス信号を使った会話…1人の区長がマイケルに囁いた質問をモールス信号を通じ、遠くにいさしたダニエルが答えた事で勝ち得た。 寝ずの朝を迎え区長達はこの計画をジンバブエ保護地区全てのノーヒューマン達に伝えた。 この日、初めてジンバブエ保護地区に死体が出なかった日でもあった。 土木関係に関わってたノーマンが階段の設計を練り、ほとんどのノーマン達が家を解体し土台を創り、土を掘り、積み上げ、外壁に届く階段を作る作業に入った。 ムダウ・カレラは全てのフードサプリを提供した。 それは誰もが思ってた以上に少なかった。 何万食もあるという噂は噂でしかなかった。 それでも皆の志気は下がらなかった。 誰もが保護地区からの脱獄を望んでいたし、誰かにいつか必ず殺されるよりも、自由になる希望を選んだ。 再び逢えるかもしれない家族。もう一度踏めるかもしれない故郷。 何より人間に戻れる事に。
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