外壁の幅は約5メートル。
外壁の上は風はなく、向こうの壁にロープ20本、堀の向こう側まで繋がっていた。
堀の向こうには銃を持った人間はいない。
ギャングのような風貌の人間がごくたまに、外壁の方を見上げていた。
明らかに今夜の脱獄劇を解ってるようだった。
ムダウ・カレラの側近が調べた結果を説明していた。
ダニエルはマイケルとワラを丸めた簡素なボールで遊びながらそれを聞いていた。
ボールはダニエルがマイケルの為に作ったモノだった。
外では全員が武器を外し、川原で体を洗ったり、話しをしたり、殺気や殺伐とした影はどこにも見当たらなかった。
壁一枚向こう側の人間の世界ではごく当たり前の風景だった。
ダニエルはそんな風景をボンヤリ眺めていた。
脱獄の時間までイヤに長く感じる。
時間潰しにダニエルはムダウ・カレラに刑務所を見せてくれと言った。
ムダウ・カレラは自ら案内すると言った。
落ち着かないのは誰もが同じだった。