sadojam 小説
アフリカジンバブエ保護地区.37
外壁の幅は約5メートル。 外壁の上は風はなく、向こうの壁にロープ20本、堀の向こう側まで繋がっていた。 堀の向こうには銃を持った人間はいない。 ギャングのような風貌の人間がごくたまに、外壁の方を見上げていた。 明らかに今夜の脱獄劇を解ってるようだった。 ムダウ・カレラの側近が調べた結果を説明していた。 ダニエルはマイケルとワラを丸めた簡素なボールで遊びながらそれを聞いていた。 ボールはダニエルがマイケルの為に作ったモノだった。 外では全員が武器を外し、川原で体を洗ったり、話しをしたり、殺気や殺伐とした影はどこにも見当たらなかった。 壁一枚向こう側の人間の世界ではごく当たり前の風景だった。 ダニエルはそんな風景をボンヤリ眺めていた。 脱獄の時間までイヤに長く感じる。 時間潰しにダニエルはムダウ・カレラに刑務所を見せてくれと言った。 ムダウ・カレラは自ら案内すると言った。 落ち着かないのは誰もが同じだった。
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