[に、に、兄ちゃん]
マイケルはダニエルに気付き、ボールをダニエルに投げた。
[さぁ、ボール遊びをしよう]
ダニエルは受け取ったボールをマイケルに投げ返す。
少し逸れたボールをマイケルは器用にジャンプし受け捕った。そして笑いながら投げ返す。
ダニエルは受け取らなかった。
背後に誰かの気配を気付いたからだ。
転がってくボールは男の足元で止まった。
男はドッグだった。ドッグはボールを拾い、言った。
[どういう事だ?]
柔らかな夜の風が、沈黙の男3人を包む。
遠くから銃声の連続音。重なるように人の悲鳴や叫び声。
[どういう事だ?]
ドッグは先ほどと同じ、怒りも哀しみもない感情のこもらない声で質問した。