宇宙船の玩具。いたる所に。鉛筆位小さな宇宙船やマイケルの体程の大きさの宇宙船。
全て、宙を漂ってる。
本物の宇宙船の中に、たくさんの玩具の宇宙船。
マイケルは幸せだった。
どこに行くのか?
どこへ向かってるのか?
そんなのは問題じゃなかった。
たくさんの宇宙船に囲まれて、宇宙船に乗ってる事。誰も自分を虐めたりしない環境が彼の全てだった。
頭にかぶってる道具と腕と胸に刺さってる針さえなければもっと幸せだけど、我慢は出来た。
丸い枠の外は深淵の黒と、輝きを瞬く星々。
手が透けて見えてるけど、マイケルは気にしなかった。
目の前に浮いてる宇宙船が消えなきゃ幸せだった。
部屋の隅々に隠してある小型カメラ。
カメラには毎日少しずつ透き通っていく体のマイケルといくつもの玩具の宇宙船が映し出されていた。
そのカメラからの映像は世界各宇宙機関のモニターに転送され、何千人の科学者達が見つめている。
やがて、マイケルは完全にモニターから見えなくなった。マイケルが身に付けていた機械も消えていった。
だだ脳波や心音、血圧の数値を測るモニターには、マイケルがいた時と同じ一定の数値を記録していた。