長期戦は避けたかった。
殺し合いの緊張で疲労が溜っている。
孫が机を指差した。
机には水に濡れたせいでの足跡があった。
ツァイは机から発電機の上に登ったらしい。
[降りて来い]
カオは怒鳴った。
[………わ、分かったよ。降参するよ。だからちょっと俺の話を聞いてくれ]
ツァイの姿は見えないが、怯えた声が上から聞こえた。
カオの顔が、にやけた。
発電機の上で何かを動かす音がする。
[孫に登らせるぞ]
カオは待ちきれず声をかけた。焦燥が混じった声。
[ちょっと待ってくれってば!もう少しだから]
ツァイの返事。
カオは落ち着く為に1つ深呼吸した。
殺し合いの疲労と、血を見た事でまだ気が高ぶっている。
その事に気付いたからだ。