sadojam 小説
中国雲南省保護地区.20
長期戦は避けたかった。 殺し合いの緊張で疲労が溜っている。 孫が机を指差した。 机には水に濡れたせいでの足跡があった。 ツァイは机から発電機の上に登ったらしい。 [降りて来い] カオは怒鳴った。 [………わ、分かったよ。降参するよ。だからちょっと俺の話を聞いてくれ] ツァイの姿は見えないが、怯えた声が上から聞こえた。 カオの顔が、にやけた。 発電機の上で何かを動かす音がする。 [孫に登らせるぞ] カオは待ちきれず声をかけた。焦燥が混じった声。 [ちょっと待ってくれってば!もう少しだから] ツァイの返事。 カオは落ち着く為に1つ深呼吸した。 殺し合いの疲労と、血を見た事でまだ気が高ぶっている。 その事に気付いたからだ。
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