sadojam 小説
中国雲南省保護地区.21
ツァイが顔を出した。 妙に落ち着いている。暗くてツァイの表情が分からない。気のせいか?考えるのがもどかしかった。 [早く降りて来い] ウンザリした口調でカオが言った。 ツァイが激しい口調で返事を返した。 [そうやっていつも俺をバカにしやがって。どっちがバカなのか今分からせてやる] ツァイが顔を引っ込めた。次にカオが見たのはロープの束。 カオがハッと気付いた。 [逃げるんじゃ] ツァイは [遅えよ。死ね。クソジジイ] 吠えながらロープの束を蹴った。 ロープの束は電気ケーブル線の束だった。 束は音を立てて転がり落ちる。地面に付くや否や、電流が流れる音が流れる。その音に共鳴するようにカオと孫達の痺れた悲鳴。 ツァイが発電所に逃げ入って鍵をかけた後にした事は、発電機の冷却機の水を流し、部屋を水浸しにする事だった。 水の伝導性を利用して電流を流し電気ショック死。それが発電所担当であったツァイの武器だっだ。 カオと孫達は痙攣硬直し、倒れる事を許されず立ったまま高圧電流を浴びて死んだ。 ツァイは立ったまま死んでるカオ達を見ながら言った。 [さて、どうやって降りようか…]
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