ツァイが顔を出した。
妙に落ち着いている。暗くてツァイの表情が分からない。気のせいか?考えるのがもどかしかった。
[早く降りて来い]
ウンザリした口調でカオが言った。
ツァイが激しい口調で返事を返した。
[そうやっていつも俺をバカにしやがって。どっちがバカなのか今分からせてやる]
ツァイが顔を引っ込めた。次にカオが見たのはロープの束。
カオがハッと気付いた。
[逃げるんじゃ]
ツァイは
[遅えよ。死ね。クソジジイ]
吠えながらロープの束を蹴った。
ロープの束は電気ケーブル線の束だった。
束は音を立てて転がり落ちる。地面に付くや否や、電流が流れる音が流れる。その音に共鳴するようにカオと孫達の痺れた悲鳴。
ツァイが発電所に逃げ入って鍵をかけた後にした事は、発電機の冷却機の水を流し、部屋を水浸しにする事だった。
水の伝導性を利用して電流を流し電気ショック死。それが発電所担当であったツァイの武器だっだ。
カオと孫達は痙攣硬直し、倒れる事を許されず立ったまま高圧電流を浴びて死んだ。
ツァイは立ったまま死んでるカオ達を見ながら言った。
[さて、どうやって降りようか…]