sadojam 小説
[飼い慣らす]
人は誰でも、もう1人の別人格を隠しもつ。 表に現れるかどうかの違い。 ▽怒りと無気力のせいで、声を押し込める力がなかった。 お前は何にもないんだよ…だから何をしていいか…何を求めてるかすら分かってないじゃん…。 …うるせぇ…俺は声にならない声で呟く。 声は止まらない…止められない。 何の為に生きてる? そもそも何の為にお前はいる? 動物の生きる最低限の証…遺伝子を残すのすら放棄したお前に何の価値があるの? 黙れ…声すら出ない。 手足の力が抜け、ベッドに倒れ込む。 声は容赦ない。 愛は幻想だと知りつつ、解っていたのにお前は求めた。 俺がさんざん言ってたろう? 何にも期待するな…って。 解っていて解らないフリをしたお前が悪い。 お前の意志で生きた結果がこれか? 幸せはこの世界にはないんだよ。 妥協と諦めだけが存在するだけ。
ギフト
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