身を滅ぼしても相手を守る…。
それは究極の理想であり…現実には皆無…。
▽目が覚めた時には女達はいなかった。
ベッドの隅でトオルは爆睡している。
ベッド近くの机に書き置きしてある紙…
[先に帰るね。昨日はホントにごめんなさい。
迷惑だったでしょ?
いつか恩返しします。
チェリーとオレンジでした]
そして、携帯の番号とチェリーのマーク。
俺の財布とトオルの財布が並べてあった。
俺の財布…見る…三万円足りない。多分トオルもないだろう。
俺は苦笑いをした。
こういう女は嫌いじゃない。
多分また会えるだろう…直感めいた予感。
トオルが起きる…寝ぼけ眼…自分がどこにいるかすら分かってない。
俺と目があい、納得した様子。
[女の子達は?]
[帰ったよ]
返事を返しながら手紙を渡す。
[三万円ないよ…多分トオルも]
言いながら財布も渡す。
案の定無かった。
[やるなぁ。あいつら]
クシャクシャの髪を触りながら笑うトオル。
笑顔が消える…俺を見て言う。
[やっぱりユダはゲイなんだな…]