sadojam 小説
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[恵美。ちょっと聞いて!私好きな人できたのよ。もうヤバいわ。どうしよう] 相変わらずの口調だが、真剣さは伝わる。 [告白したらいいじゃないの。妙子なら大丈夫だよ。絶対] 口先ではなく、妙子なら好かれるはず。少なくとも嫌われる要素はかなり少ない。 [でも彼ってバンドやってて、もてるんだけど女の子には興味ないみたいなの] [そんなの噂でしょ。どうしたいのよ?] 私は正直どうでもよかった。音楽に興味ないし、何より他人の恋愛話なんか、これっぽっちも興味なかった。 [分かんない] しおらしい態度は妙子らしくなかった。 [じゃあ他のファンと同じ成功を見守るだけにしたらいいわ] [それはイヤだわ] [じゃあどうしたいの?] [分かんないのよ…だから恵美に相談してんじゃない] 妙子は自分の感情のまま生きている…つまり自分の心にだけは素直な女の子。 今時の子と同じ、短絡過ぎる程、感情に素直。
ギフト
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