女将さん達は車が見えなくなるまで見送りをしていた。
車の中で私は聞いた。
[ご馳走様。凄い世界だったわ。いくらかかったの?]
彼は笑いながら言った。
[絵美がご馳走様なんて言うんだな。今日は珍しいな…なんかあったのか?変な質問したり…]
彼は前を見ながら話を続ける。
[キッチリ10万だったな。高いが当たり前だな。それより、知ってたか?あの店は禁煙なんだよ]
私は首を振る。彼は構わず話す。
[少なくともカウンターでは禁煙がルール…ご法度なんだ。でも金の為ならルールすら曲げる。
金は光なんだ。みんな浴びたい。でも光は影を必ず産むんだ]