[光があれば何でも見える。光がないのに見ると目が悪くなるように、金がないと心が歪むんだ]
対向車のライトが眩しいかのように、目を細めながら言った。
[光のあるところに蛾が集まるように、人も金に集まるんだ。だが光があれば楽だのは確かだな]
彼は自分の言った言葉に頷きながら話を続ける。
[金がなきゃ絵美も俺に振り向きゃしない。さっきの店も灰皿なんか絶対に出さない]
フン…と鼻を鳴らす。
[俺より光なんだ。光は万能だな。金は神様だな…この国じゃ]
彼は私を見て言った。
[お前も金の為に身体売ってるだろ?幸せになりたいなら、金を稼ぐしかないんだ…幸せは金で買える]
彼は車を人気のいない脇に停めた。
[やらせろよ]