[近藤…俺…妙子からお前のメアドを聞いてもいいかな?]
酒が入ってるとはいえ、真剣な眼差し。
恋愛の小手先な駆け引きのない直球を、神崎は投げてきた。
私は悩む…黙ったまま。
神崎は沈黙の痛みに我慢できず
[やっぱ好きな人とかいるんだ]
私は首をふる…好きな人なんか本当にいないのは事実。
[本当か?]
神崎の顔が明るくなる…素直でシンプル。
妙子が気になる…妙子は男女間の…特に自分に関わる事にはとても敏感。
神崎が私を追いかけて外に出た事は把握してるはず。
[妙子は神崎さんの事好きなんだよ。大事にしてあげて…ご馳走様でした]
ちょこんとお辞儀をし、そう言って神崎を後にした。
私は彼の投げたボールを捕らなかった。
帰路…結局、妙子にメールはしなかった。
明日の学校がめんどくさかった。