[あいつ最悪!私に嘘ついた!バンドの練習とか言って女と会ってた!]
私はあと数ページで読み終わる本を閉じて返事をした。
[妙子の勘違いかもよ]
妙子は黙ったまま…反論はない。
妙子は、それが誤解か間違いであって欲しいに違いない。
[神崎に聞いたの?]
妙子は少し首を振る。
[今ハッキリさせておかないと、深みにはまったらそれこそ大変よ]
間違いなく神崎は遊んでるわ…口に出さなかった。
[どうせ避妊してないんでしょ…赤ちゃんできたら大変だし]
口から出た言葉。
[赤ちゃんできたら産むもん]
妙子は拗ねる。
[現実を見なさい。誤解か間違いかもしれないから、ハッキリさしておく事。分かった?]
返事をしない妙子に後押しする。
[神崎を愛してるならハッキリさせないと]
妙子はしぶしぶながらも頷いた。
私はまた本を開いた。