sadojam 小説
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夏はまだこないのに汗ばむ陽気。 私はわざと家と反対側の改札から出た…近くに河川敷がある。 小さい頃よく遊んでた。 二人並んで河川敷を歩く。 私は話しかけない…神崎も話し出さない。 神崎が急に走り出した…少し先の自販機。 神崎、自販機の前で振り返って聞いた…何飲む? 冷たい缶コーヒー…ベンチに座って飲む。 釣り竿を握ってる人。 川を挟んで向こう側に子供達が5、6人遊んでいる。 ジョギングしてる人。 犬を連れて散歩してる中年女性。 二人座って何にも話さず…話し出さず。 なんか愛しい雰囲気…懐かしい景色。 お金とは無縁な世界…急に目頭が熱くなる…我慢する。 こんな世界があったのね…。 感情が弛(ゆる)みつつある…やはりおかしい。 感傷に浸りたくない…お金の事を考える。
ギフト
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