[ちょっと用があるの]
私は、彼らと席を立とうとする携帯電話の子に声をかけた。
3人とも私は名前も知らない。
今まで私からクラスの誰かに声をかける事は、めったになかった。
近くの席にいた女の子グループが興味深く見つめてるのが分かる。
男2人が私に言った。
[お前…近藤じゃん。加藤になんか用があるのか?]
加藤…携帯電話をいじってる男の名前。
[そうよ。ちょっと聞きたい事があるの]
はたから見たら、いじめを阻止する女…に見えたのだろう。
妙子も気付き、しゃしゃり出た。
[恵美どうしたの?ゆうじ達になんかされたの?]
男2人のうち…ゆうじという名前の方に、妙子は詰め寄った。
ゆうじと呼ばれた男は
[いや、何にもしてねぇよ…何でもないよ]
慌てふためいた。
[用がないならクラスに戻れば?]
冷たい口調で妙子は言った。
男2人は何か言いたそうだったが、何にも言わず教室から出て行った。
妙子の影響力は強かった。
[ありがとう]
私は妙子に言った。
妙子の目も興味心丸出しだった。
妙子が口を開こうとした瞬間、私は遮った。
[あとで話すわ。必ず]
私は加藤…携帯電話の男に言った。
[ちょっと聞きたい事があるの]
加藤は声にせず、頷いた。