創造世界
第07話「斬羽の鴉」2/2
 W.E本部 長官室 「創伍! シロ! 何処へ隠れたのよ!」  取り残されたアイナと長官は、煙幕に巻かれて消えた創伍とシロを部屋中くまなく探していた。 「――内線で隊員達にも確認したが、やはり本部内には居ないようだ。それに彼らが外へ出た様子も誰も目撃していない」 「そんな……本部に居ないとしたら、二人とも何処へ??」  刑事の命が風前の灯となって焦る創伍の一方で、シロは特段変わった素振りをしていなかった。強いて言うなら、創伍に耳打ちをしただけ。それから煙が吹いた後にこう言った…… 『それじゃあ長官さん、行ってきまーす!』 「まさか……」  シロの言葉で、アイナが何かに気付く。書斎机に置かれたリモコンを手に、再びスクリーンの映像を映し出す。 「どうしたのかね。アイナ君?」 「見てください長官!」  彼女の予感は的中し、スクリーンに指を指す。 「二人は今……現界に戻っています!」 「なんと!?」  別視点で映し出された現界の映像を長官が凝視する。 「馬鹿な……ヒバチ君達ですら三分は要するのを、あの二人は現界へ辿り着いたのか!?」  見間違えるはずもなかった。ほんの数十秒前まで彼らの目の前にいた創伍とシロは、ここまでへの道のりや経緯を無視するかのように、一瞬で元の世界へと舞い戻っていたのだ。 「真城創伍の破片者――ワイルド・ジョーカーか……やはり守凱君の報告通り、侮れん存在だな」 「創伍……シロ……」  二人にはどうすることもできず、再び創伍達に訪れた次なる戦いを見届けるしかなかった。  * * *  PM19:00 現界 高速道路上 「あ、アイツは……さっきの! どうやって此処に……?」  今この場において、一番理解出来ていないのは真坂部だった。目の前で突然煙が暴発し、事件の容疑者と睨んで追っていたはずの創伍が現れたのだから。 「シロ、今のは何がどうなってんだ? どうして俺がヒバチさん達よりも一番乗りで……」  だが、その次に理解してないのが当事者であるはずの創伍だった。界路といった次元の境界線を渡ってまで辿り着いた創造世界から一瞬で現界に戻ったのが不思議でならない。 「エヘヘッ、それはね……『アンコール』だよ!」 「アンコール??」 「創伍があの刑事さんの拳銃にイメージした手品を仕込んだ時にね、シロもやったんだ。何か起きたら指示通り行動してくれると創伍が来てくれますよ! っていうメッセージを添えてね!」 「……なるほどファンサービスってわけね。まぁ何だっていいけどさ」  創伍がイメージした手品に、シロが細工を施したのだ。  彼が拳銃を使う時は、それは異品が現れた時――創伍達にとって敵を炙り出す為の作戦が、真坂部にとってはまさに命綱となったのだ。  何はともあれ、道化英雄はまた新たな異品と対峙することとなる。 「ったく冗談じゃねぇぜ。散々時間置いてから仕事の邪魔者を消そうとしたのに、まさかマジで創造世界あっちから一瞬で戻るなんてよ。お前チート過ぎだろ」  ヘルメット越しに悪態をつく男の声は若々しく、身長や体格は相対する創伍とほぼ近かった。唯一異なるのは性格で、善悪の判断どころか罪悪感の欠片も持とうとしない創伍が最も嫌いなタイプだ。 「……どうしてあの人を襲ったんだ。お前達とは全く関係のない一般人じゃないか」 「おいおい全く関係無くはないぜ? 真坂部そいつはお前のことに勘付いて連日の事件を調査していたんだ。アーツや創造世界を知った人間は、記憶を消されるか死ぬかの二つに一つじゃなきゃなんねぇのが規律だ。俺はそれに則っただけだし? 今後の事を考えたら殺したほうが一石二鳥でお互いに捗るってもんだろ。むしろ感謝して欲しいくらいだぜ」 「テメェ……!」  そして人間の命などまるで玩具のように扱う軽視ぶりが、創伍の怒りに火を点けていく。 「だが刑事さん殺すのはあくまでもついでだ。こんなの仕事なんかと割り切る必要すらねぇ。いつでも殺せるからな」  しかし…… 「……どういうことだ?」 「俺の暗殺稼業において、標的以外がゴチャゴチャ群がる場所に紛れて闇討ちってのはどうも性に合わねぇのさ。だからを狙う時は、こんな静かで誰も来そうにない場所を選んで誘き寄せてんだよ」  男の発言を聞いていくうちに創伍の中で違和感が出てきた。  隠れて人間を襲う異品に対し、それを阻止しようとして駆け付けたつもりがどうだろう。真坂部など二の次扱いで、まるで自分が狙われていたかのようで…… 「まさか」 「察しがいいな。そう、俺が殺したいのは……」  全てを悟った時には、男は既に視界から消えており…… 「消えた!? アイツは何処へ――」 「創伍! 上だよ上!」  シロに言われてようやく上げた視線の先には、宙に浮かぶ男の姿があった。  正確には浮かぶというより飛んでいた。さっきまで隠れて見えなかったが、男の背中からは無数のナイフを密集させた機械状の銀翼が、鋭い音を鳴らして羽ばたいていたのだ。 「お前だよ――真城 創伍」  さながら夕闇を舞うからすを彷彿させる新たな異品を前に、創伍は息を呑む。 「……俺が狙いだって?」 「知りたいのさ。嘗ての『忌々しい愚者グリズリー・オーギュスト』の様な力を貰っただけのルーキーさんが、一対一のタイマンでどれだけ渡り合えるのか……その実力をな。まさか逃げやしねぇだろ? こうしての元へちゃんと来てくれたんだからよ」 「………………」  男のセリフに聞き慣れない言葉が混じっていたが、どうやら自分達は手品を逆手に取られ、敵側の土俵に誘き出されていたことだけは理解出来た。  徐々に男のペースに引き込まれていく創伍の心中で、怒りとは別に恐怖が芽生えていく。 「お前、いったい何者なんだ……?」 「ハハッ! 暗殺者に名前尋ねるのか!? まぁ戦の作法ってヤツか。いいぜ教えてやるよ」  あの男は強い――シロの力を以てしても敗れるのではないかという、守凱やマンティスとはまた違った強大さを闘う前から感じられたのだ。 「俺は――『斬羽鴉ざんばがらす』――闇を斬る死の鳥さぁ!」  満更でもなさそうに、男は斬羽鴉と高らかに名乗ると開戦の号砲を鳴らし始める。  まずは創伍に向かって片脚を伸ばした。真っ暗なブーツの靴底が開閉し、その中から黒い筒状のものが現れる―― 「「い〜っ!?」」  仕込み機関銃だ。思わぬところからの弾丸の炸裂に、シロと創伍が面食らう。 「創伍っ!!」 「ぬぉわっ!?」  咄嗟にシロが創伍の腕をぐいと引っ張ると、二人は揃って宙に浮き、バネの様に飛び跳ねて弾丸を間一髪回避する。  "拳銃を手に持って撃つ"ことを無視したトリッキーな戦術にまんまと翻弄されたのだ。  しかしこれだけで斬羽鴉の攻撃は止まらない。黒コートの左右の袖口からそれぞれ何かを取り出した。 「斬羽扇ざんばせん――」  一見はただの二本の鉄扇。しかしそれを開くと、羽の形を模した六本の銀色のナイフだった。斬羽鴉がそれらを振るうと、ナイフは無作為な方向へと飛び交う。 「わっ! 今度は何――ひえっ!?」  弾丸を回避し切ったと難を逃れた頃には、また一難。既に先手を打たれ、銀の刃が縦横無尽に襲いかかるのであった。頭上から刃が来て避けたと思えば、今度は背後からも飛んでくる。いずれの刃も鉄扇にワイヤーで紐付けられており、巻き尺の要領で伸ばしては戻してと巧みに操ることで、風に吹かれる羽の様に舞っているのだ。夕陽も暮れたこの薄闇の中では、飛び道具としての有効性も増している。 「わわわわわっ……!」 「どうしたお嬢ちゃん。主役を守ってばかりの大道芸じゃ飽きちまうぜぇ!!」 「……えいっ!!」  避けるので精一杯なシロだったが、負けじとその間にタイミングを窺っていた。飛来するナイフを刹那で躱し、隙を見つけて指を鳴らす――  PONG! 「ほう……」  乱れ舞っていた刃は一瞬で風船へと変化し、そのまま空に浮かんでいった……。自分の得物を無効化されても、斬羽鴉は狼狽るどころかシロの奇術に興味さえ示す。 「なるほどね。道化のお嬢ちゃんは視界で捕捉した物体に対して指を鳴らし、イメージしたものに変異させる能力があるのか。おぉ怖い怖い」 (こいつ……まさかシロの能力を見極める為の小手調べを……!?) 「そして自分達を彩る舞台演出も、意識と同調しているとはな。戦いに夢中になればなるほど消えていってるぜ?」 「………………」  悔しいことに図星のようだ。斬羽鴉の攻撃を躱すことで意識が逸れてしまい、此処へ駆けつけた際に顕現させた道化行進ジェスター・パレードの舞台演出である花火やカラフルなライトも、蜃気楼となって消えていくではないか。 「要はペース崩されたら詰みで、目に見えない攻撃には分が悪い。なんだ大したことねぇな……」  斬羽鴉は創伍ですら把握し切れてないシロの能力を彼なりに見抜いたのだ。シロもそれを否定しないのはあながち間違いでもなく、その証拠に息も少し上がってしまっていた。 「シロ! 大丈夫か!?」 「私は大丈夫。でも創伍、気を付けて。前回みたいにはいかないかも……」 「……そうみたいだな」 「今回は創伍も一緒に戦って。イメージは前回教えた通り。想像力を駆使して欲しいの」 「まだ不慣れだけど……やるだけやってみるよ。守られっぱなしも嫌だからさ」 「ありがと。私も出来るだけサポートするね!」  だが創伍を護衛するのは道化師の役目。シロは斬羽鴉に対抗すべく創伍の右肩に乗っかり、彼の両腕を再び赤と黒に光らせた。 「創伍、早速だけどマンティスの能力ちからを使おう」 「マンティスの能力……?」 「彼と戦った時を思い出して。あの時の痛み、恐怖……そして彼の武器の切れ味を!」 「……あ、あぁ」  そしてシロに言われるがまま、創伍は目を閉じてイメージに集中した。 「………………」  普通の人間なら、過去の嫌な記憶はすぐにでも忘れたくなるはず。  だが創伍はヒュー・マンティスに斬り落とされた両腕を代償にシロとの契約を果たしたのだ。あの時の記憶は。否が応でも鮮明に蘇る。 「血油を浴びた銀の剣――その刃は、悍ましくも何者であろうと断ち切る勇者に相応しき剣に相違ない。ならば怪物よりも英雄の物となれ。今こそ弱き者を護る為の、一閃を放て!」  シロが詠唱を唱え、創伍の右手が赤い発光を強めると、彼の手に何かが握られた。  一メートル程の銀の長剣。それは無差別に命を刈り取る凶器ではない。誰かを護るべく戦う為の、創伍だけの唯一無二の武器である。 「道化ジェスター・遊具ウェポン――『勇者ブレイブメンブレイド』!」  光が止むと、創伍の手に一瞬で剣の重みが伝わる。 「うあぁぐっ?! 重いぃ~~……ぎゃふっ!!」 「創伍ってば大丈夫!?」  そのあまりの剣の重さに、武器を持ったことのない創伍は剣ごと地面に突っ伏した……。 「ハハハハハッ! 剣もまともに持てねぇとは情けない勇者様だなオイ」  まだ戦いに不慣れな創伍の姿に同情した斬羽鴉は、飛行をやめて地上に降りる。 「何なら稽古付けてやろうか? 俺は優しいからよ……」 「「え??」」  耳を疑う創伍達の前で、斬羽鴉は自らの肩に手を回して何かを抜き取った。 「斬羽刀ざんばとう――」  銀色に光る一対二振りの半月刀。1メートル程の長さを誇る二本の武器を、背中の翼と一緒に軽々と背負っていたのだ。  先の鉄扇のような飛び道具と違い、今度は近距離で創伍達に挑もうとしている。 「さぁ……行くぜっ!」 「創伍、急いで剣を持ち上げて!」 「ふんぬぃぃぃ~……!!」  剣を持つのも一苦労な創伍に構わず、既にシロの能力を見抜いた斬羽鴉は駆け出しざま、懐から何かを取り出して地面に叩き付ける―― 「俺からの舞台演出だぜ! ほら、次の演目見せてみな!」  煙幕玉だ。たちまち黒い煙が立ち込め、創伍達の視界が一気に奪われる。 「うわぁっ! だぁ!? あいぇぇぇっ!?!?」 「は……速い……!」  シロは斬羽鴉の気配を察知しているため剣戟を躱せているが、創伍を引っ張りながらのため反撃に転じることができない。一方、奇襲に長けた斬羽鴉は煙の中でも二人を見失うことなく、一撃一撃を放つごとに彼らを確実に追い詰めていたのは言うまでもなかった。 「創伍! 剣を! 何かイメージしながら振って!! 何でもいいから!」 「こんの……どうだぁ!!」  創伍が剣をアスファルトに思い切り突き刺す。  剣先から地震を起こす程の衝撃波をイメージすることで、思い通りに地面が大きく揺れ衝撃が迸った。黒煙はおろか煙玉もその凄まじい衝撃によって一瞬で散り散りとなり、不利な戦況を覆す。 「へぇ、やるじゃない」 「まだまだぁ!!」  そして今度は剣を横に凪ぎ払う。一メートル程の長剣は、一瞬に如意棒の如く伸び出して、高速道路の防音壁をも見事に切り裂いた。 「あれ……ヤツは!?」  しかし…… 「――どんな良い武器持ってようが、当たらなければそりゃなまくらさ」  肝心な斬羽鴉は創伍の攻撃を既に見切っており、高らかに跳躍し彼の頭上を取っていた。  そして創伍の頭上を目掛けて二刀を振り下ろす―― 「ぐぅっ!!」  激しい轟音を鳴らし、大剣と斬羽刀がぶつかった。火花を散らすほどの鍔迫り合いで、双方歯を食い縛りながら拮抗する。  だがこれは、創伍をサポートしていたシロにとっては好機であった。 (やった! 今のうちに――)  両者の手が塞がっているうちにシロが創伍を助けんと、手品を放とうとした時だ。 「――がぁっ……!」  銃声が響き、血が飛び散る。ふわりと浮いた視界に、シロは理解が追い付かなかった。 「あれ――?」  血を流したのは創伍であった。何故か脇腹に弾丸を撃ち込まれ、吹き飛んでしまう。 「創伍!!」  シロの叫びも虚しく、二人はそのまま路上に転倒した。 「どうして……銃を撃つ隙なんて無かった筈なのに――」 「ハハハ……には本当に弱いなぁ。お嬢ちゃんよ」 「えっ!?」  戸惑うシロを嘲笑う斬羽鴉は、種明かしとして斬羽刀を見せつけた。 「俺の武器は全て手造りでね。状況に応じていつでも相手の虚を突けるようなカラクリ仕掛けになってるのさ。今のはお前さんの死角――剣と剣が重なった際、刀の鍔の下から銃を撃ったってワケ」 「じゃあその斬羽刀は……」 「あぁ……剣銃けんじゅうって奴さ」  刀に銃を組み合わせた手製の武器。シロが目を凝らすと、確かに刀の鍔から銃口を覗かせており、柄の部分が銃そのものとなっていたのだ。 「こんな隠し武器なんざ当たればいいなくらいだったのによぉ。お前をあの愚者オーギュストの再来と思っていたのは、とんだ買い被りだったな。さぁどうすんだよ……早くご主人様を助けてやらないとおっ死んじまうぜ?」 「創伍……!」  後ろで倒れる創伍の方へ視線を向けるシロ。弱々しく呼吸する彼から流れる血は、両腕を失ったあの時と比べてもまだ致死量ではない。早く治療するに越したことはないが、斬羽鴉がそれを許さないだろう。手品の一つしようものなら、彼の銃が創伍を撃つに違いない――故にシロは立ち尽くすしかなかった。 「はっ、諦めたか。なら俺の勝ちだな!」 「……っ!!」  ここまでなのかと、シロが諦めかけた――その時だ。 「おい化け物っ!!」  斬羽鴉目掛けて、拳ほどの石が飛来する。斬羽鴉はひょいと顔を傾け、命中こそはしなかったが、シロから僅かに気を逸らした。 「創伍!!」  シロは脇目も振らず駆け出し、倒れた創伍を掻っ攫うように引っ張って、斬羽鴉から距離を取ることに成功した。 「創伍! しっかり!! 今治してあげる!」 「はぁ……はぁ……!」  トドメを刺す機会を逃した斬羽鴉は、高らかに怒声を上げる。 「……テメェ!!」  怒りの矛先は――真坂部に向けられた! 「はぁ……はぁ……! 何が何だか分からんが、お前の思い通りにいかなかったみたいだな……!」  創伍に窮地を救われ、傍観しか出来なかった真坂部の咄嗟の判断だった。創伍を信用した訳ではないが、自分を救ってくれたのは紛れも無い事実。真坂部も抗えるだけ抗おうと加勢したのだ。 「放置プレイされてて寂しくなったかよ。心配しなくてもお前は最後に殺すつもりだったんだ。死に急ぎやがって……」 「………………」 「なら望み通り死なせてやんよぉ!」  だが劣勢なのは変わらない。剣銃の狙いが真坂部に変わっただけだ。決死の抵抗も虚しく、真坂部に弾丸が撃ち込まれ―― 「うわっ!?」  ――なかった。  斬羽鴉の手が引き金を引くには至らず、いきなりにされたのだ。 「あいや待たれぇぇぇいっ――!!」 「チィッ……騒がしいな。何なんだよ」  そして夜の路上に益荒男の咆哮。度重なる横槍に嫌気がさした斬羽鴉が声を辿ると、防音壁の上に三人のシルエットが映る。 「人の目及ばぬ闇の中! 誰が呼んだか益荒男を! 英雄求める声あれば、野を越え山越え異界越えん! お天道様にゃ見えねども、益荒男様が黙っちゃねぇ!!」 「あーあ、まただよ。駆け付けて早々名乗るのは昔からなのね。ホント長いんだから早く終わらせてよね」 「ちょっと先輩! アタシにも名乗る時間を残しといてよ!!」 「涼しい夜風だったのに、途端に暑苦しくなったな。オイ、何者だよテメェら……」 「はいはい来ました来ましたぁ! 尋ねなくても教えてやる! 俺様はぁ! 創造世界一の傾奇者、その身その魂は燃え尽きることない無敵の炎熱えんねつ絶世ぜっせい益荒男ますらお炎獄界えんごくかいの大英雄! 炎天下無双えんてんかむそう! 燃え盛る紅蓮の鉄砲玉――あ、紅蓮魔ぐれんまヒバチ様よおぉぉっ!!」 「アタシはパス。大見得なんて今日日流行んないんだから」 「美影乱狐――ってあぁあ! 尺が無さすぎるよー!!」  ヒバチ、つらら、乱狐――本来創伍達よりも早く着く予定だった三人が、絶好のタイミングで駆け付けたのだ。  * * *
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