今日は動画配信者ピエトロの人気企画「声とも歌うま選手権」の配信日である。
ピエトロという人物の説明を軽くしたいと思う。
2010年からネット活動を始め主に通話系アプリを使った動画、生放送やゲーム実況などをしている。巧みに声を使い分け、イケボ・ショタボ・ロリボなど多くの中高生を魅了する通話系配信者の1人だ。
そんな彼の大人気企画「声とも歌うま選手」の第3回目が開催される事が決定した。
可愛いロリっ子の歌い手から力のある声で周囲を魅了する歌い手など数々の参加者が集い予選ブロックを勝ち上がった15名による決勝当日を迎えた。
しばらくして…………
予想以上の閲覧数を越え、決勝の大舞台で緊張の面持ちの参加者達は時にはおふざけ役が、時には正統派が、リスナー達を湧かせ大いに盛り上がった配信であった。
そして、第3回目声とも歌うま選手権のタイムスケジュールも残すは最優秀賞者の発表を残すのみとなった。
「どうでしたか皆さん第3回声とも歌うま選手権!!ネタあり!感動あり!過去最高の配信になりました!栄えある第3回目声とも歌うま選手権優勝者は92点を獲得した「あずりんご」ちゃんでした!今回の参加者は特にレベルが高く緊張も今までの比ではなかったでしょう!!そんな中での優勝おめでとうございます!
さぁさぁ、皆さん第3回目声とも歌うま選手権楽しんで頂けたでしょうか?
これからもみんなが楽しめる企画をこれからもどんどんやってくから初見さん是非チャンネル登録・高評価よろしくね!
本当に最っ高の配信でした!
ありがとう!!
それでは、終わりたいと思います!」
コメント欄に流れる〈おつピエ〉。
これはピエトロの配信終了前の恒例挨拶である。
「今日も来てくれてみんなありがとう!
明日も今日の配信に負けないくらいの面白いの控えてっからよろしくな?
という事でいくぞ?わかるよないつもの俺の挨拶!よっしゃいくぞー!!」
「ひなたありがとう、ろくありがとう稲葉ありがとう、んだんだありがとう、はなびありがとう、ゴロリありがとう、人壁ちゃんありがとう、かえでありがとう、もしィもしィありがとう、ネムありがとう!~~~~~んんんんってことで!!」
「おあとがよろしいようで・・・・
バーイセンキュー☆おつピエ!」
配信は興奮冷めやらぬまま最高潮の状態で終了した。
「よし。今日の企画はかなり上手くったな。
まじで、最っ高だったわ。」
マイクを切り配信を終わらせる為に停止ボタンを押した。
確かに押したはずだった。
「ここはどこじゃああああああああああああ」
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「ここはどこだ?」
停止ボタンを押した次の瞬間、辺り一面に広大な大草原、遠くに見えるのは緑が生い茂った山々、そして近くには樹齢2000年はあろう1本の巨大な大樹が聳え立っていた。
よし。落ち着け。落ち着くんだ俺。
突如現れた非現実。
今の今まで自室で配信をしていたはずが、目の前に広がるのは大自然。
パニックを起こしそうになるが持ち前の冷静さでなんとか堪え、理解しようと脳をフルストロットルで回転させる。
「さてとポテトどうすりゃいいんだこれ」
突如現れた大自然を前に現在の自身の状況がどうなってるのか考えた結果。
何が起こってるのか分からないことが分かった。
つまり、何もわからなかった。
【そうですね。まもなく主様を転移させたこの世界の主神が来る頃合いだと思われます。】
「!?」
突然、頭の中に機械的な女性の声が響いた。
「誰だ!?」
困惑しつつも、辺りを警戒していると回答が返ってきた。
【私は主様のスキル《第2人格 》です。頭の中で思考するだけで会話を可能としていますので、声を発せずとも伝わります。】
なるほど。スキルと。うん。いや、わけわかんねぇーよ!!!
頭の中で思考するだけで会話!?
てことはなんだ?今俺はラノベとかアニメとかみたいな異世界って奴に飛ばされたって事なのか?
おいおい。どーなってやがんだよ。
まじべーやーだわ。
【はい。その認識で間違いないです。何故主様が転移されたのか、詳しくはこの世界の主神が説明をしに現れると思われます。】
ほほぅ。
とりあえずその主神とやらにきけばいいのか。
主神が何故俺をこの世界に転移させたのか、きっちり詰めてやろうじゃねーか。
---閑話休題---
ピエトロは辺りを見渡し俺のスキル?《第2人格》の言った主神がくるのをまっていた。
ふと、背後から声がかかった。
「やっほーーーー☆私の世界にようこそーーー☆」
緊張感の欠片もないゆるい声が響いた。
警戒心をMAXまで上げていたピエトロは拍子抜けだと思いつつ振り返るとそこには件の主神とやらがニコニコ笑顔でVサインをしながら宙に浮かんでいた。
そう。浮いていたのである。
「浮いてる!?」