里音書房
第八話 玲奈の欲求と彩人の存在
 その日。保険医の瑠香は、小型の注射器に鎮静剤を充填していた。その注射器は、生徒の中で唯一、風紀委員のみ使用が許されたものだった。  生徒が扱うということもあり、そこまで強力なものではなかったものの、思春期の生徒たちにとっては、十分な効果をもたらす代物だった。 「あたしも、これでよく制裁されたなぁ~。今となっては笑い話で済ませれるけど、当時は、恥ずかしいのなんのって……ふふふ。」  強制発情鎮静剤。という、大それた名前がついていたが、獣人たちにとって、オスを求めるのは、必然。それが、思春期とならばなおさらのこと間違いを犯しかねない。一時の欲求のために、身を崩しては元もこうもない。  そんなときのこの薬だった。口からの摂取はもちろんのこと、注射や点滴での治療など、多くの方法があった。中でも、風紀委員が用いる方法は、制裁も兼ねているために年頃の乙女にとっては避けたいものだった。 「あの時は、あたしも若かったからなぁ~それに、我々は、もうそろそろ発情期だからなぁ~」 「特に、彼女たちは、最初の発情期だし……戸惑うだろうなぁ~」  ぶつぶつと独り言を言いながらも、小さな注射器に鎮静剤を補充しながら、想いを馳せていた瑠香だった……  一方……女子寮の二階角部屋では、悶々と考え抱き枕にしがみつく、玲奈の姿があった。  彩人にお姫様抱っこで抱えられた玲奈は、脳裏に鮮明に覚えていた。かっこいい彩人の顔と、優しい声。そして、自分を心配してくれる彼にドキドキしていた。 『んん~。彩人ぉ~こ、これが初恋なの?』  彩人のことを思い出すたびに、玲奈は胸がキューンと締め付けられていた。学生寮に入って以来、親のコネをふんだんに使い、自堕落を地で行っていた玲奈。パートナーなんて、簡単に見つかるだろうと思っていた。  親が学園の理事をやっていたり、有名メーカーのCEOだったりと、ご令嬢であることには間違いない玲奈。お見合いの話もちらほらとくるほどだったが、両親の方針で学園くらいはしっかりと、とのことでこの学園を履修していた。  ただ、成績も優秀だったこともあり、玲奈は基本。テスト以外は寮から出ない。それだけでなく、テストすら自室で行う始末。そのため、寮の自室で自堕落に過ごすのが日常になっていた。  そんな玲奈のもとに突如現れた彩人という存在。最初こそ、匂いに釣られたというのもあったが、お姫様抱っこをされたのが一番効いていた……  滅多にされることのないお姫様抱っこ。獣人であるが故に、普通の人間よりは力が強い。そのため、“する”ことはあっても“される”ことはなかった。そんな初めてのお姫様抱っこをしてくれた、玲奈の騎士〈ナイト〉様は当然、女子寮の外にいる…… 『こ、この先に彩人がいる……』  寮の入り口を眺めて、人が通るたびに隠れ様子をうかがう様は、完全に引きこもりをこじらせていた。そんな中、玲奈に転機が訪れる。それは…… 「今日も回るんですか?」 「当たり前でしょ? 彩人くん」 『彩人?!』  この日も、風紀委員として校内を巡回していた綾乃と彩人。風紀委員が回ったとて、そこまで違反者を見つけるという形ではなかったが、風紀委員が見てますよ。という姿勢を見せる目的の巡回だった。  それは、学校の隅々まで巡るもので、その巡回エリアの中には、女子寮も入っていたが、彩人が入るわけにもいかない。そのため、いつも寮の入り口で引き返すようになっていた。  二人の足音はが女子寮に向かって近づいてくるのが、隠れている玲奈の耳にも届く。壁を挟んだ向こう側には、初恋の相手。彩人がいるのだから、当然よこしまな考えが脳裏をよぎる…… 『つ、連れ込んじゃおうかな?』  恋する乙女である以前に、獣人。その気になったら、意中のオスを巣に連れ込むことなど、造作もない。一方で、意中の相手を引きずり込むということ自体が、恥ずかしく思えてしまう玲奈。  そんな考えが脳裏をよぎっている間も、チャンスの時は近づいていく。そして、こういう時の考えというものは、自分に都合のいい方が優先される…… 『そ、そう。連れ込んでから告白すればいいのよ。うん、それがいい。滅多にこんなタイミングなんてないかもしれないし……』  本能に裏打ちされた、“勝手な”理論は、性欲を基準としたメスの行動そのものだった。ゆっくりと呼吸を整え、目の前に来るのを待つ。それはオスをハントする一匹のメスだった。そして…… 「ここに来るたび、恥ずかしいんですけど……」 「そんなのわかってるわよ。よからぬこと考えてないでしょうね。」  彩人と一緒に巡回していた綾乃は、いつもの他愛のない会話を続けていたが、返ってくるはずの返事は、全く返ってくることはなかった……  おかしく思い、振り返った綾乃の司会の中に、彩人の姿はどこにもなかった。 「あれっ? 彩人? どこに行ったの? ねぇ。彩人?」  寮の入り口で彩人を探す綾乃。その彩人の姿はというと、すでに玲奈の部屋の中。しかも、玲奈の普段使っているベッドに連れ込まれていた。  自分の普段使っているベッドに、意中の相手が眠って(気絶して)いるのだから、それだけで心臓が高鳴る。ある意味、告白よりも大胆なことをしてしまった玲奈は、彩人の姿を見ながら、少しだけ我に返っていた…… 『ど、どうしよう。本当にできちゃった……。連れ込めた。』  一目惚れをした意中の彩人を、自分の巣でもある寮の自室へと連れ込み、あまつさえ自分のベッドに寝かせているのだから、獣人のメスとしては合格の部類だった。ただ…… 『どうしたらいいの?!』  全く連れ込んだ後のことを計画せず、その場の勢いで行動したツケが返ってきた。初めて連れ込んだ異性、それも一目惚れの相手。それが目の前で自分の好きなようにできるのだから、好機でしかなかった。  玲奈のベッドに眠る彩人からは、LHR因子がほんのり漂う。その匂いは玲奈の鼻を刺激し、体を反応させる。それは、玲奈にとって初対面のあの時以来の、心地いい感覚だった…… 『んんんんんっっ!!!! はぁ、はぁ。こ、この匂い……いい。』  彩人の横で鼻をクンクンと鳴らし、深く呼吸をするたびに、体中を快楽に満たされる。おりしも、玲奈は初めての発情期。LHR因子の強い彩人と、初めての発情期は玲奈を快楽の虜にしていく……。初めての発情期に戸惑いながらも、ギリギリで玲奈は理性を保っていた。 「はっ!」 「わ、私。今、しようとしてた?!」  本能に背中を押された玲奈は、ゆっくりと顔を近づけ呼吸を感じるほどに近づいていた。もう数センチでキスをしてしまう直前で、理性を保っていた玲奈。  ギリギリで保った玲奈だったが、おなかの大事な部分がキューンとしてしまい、おかしくなってしまいそうになっていた。まして、初恋も重なったことで、体中を満たす幸せな快楽は、恋をすれば誰しもが体を求めるものだと思っていた……つまり…… 『彩人くん……好き♡』 「特に初恋の子って、性欲と恋心からくる独占欲をはき違えるのよねぇ~」  保健室で書類を整理しながら、独り言のようにつぶやいていた瑠香の、杞憂が現実になりかけていた。  体中を包み込む快楽は、目の前にいる意中の彩人を求める方向へと動いていく。  少しだけ、ほんのちょっと。という誘惑が玲奈を突き動かす……その瞬間。 「はっ。」 がばっ! 「うわっ。」  目を覚まし、体を起き上がらせた彩人に、一気に理性のブレーカーが復活する玲奈。それと同時に、張り裂けそうなほどに鼓動が高鳴る。  一方の彩人はというと、フカフカのベッドの上で、周囲をきょろきょろと眺める。すると、そこは以前にも来たことがある場所だった。その主が、目の前で真っ赤になりながら彩人を見ていた。 「えっと、確か……玲奈ちゃん?」 「ん。そ、そう。」 『覚えててくれた!!』  自分の名前を彩人が覚えていてくれたことで、さらに鼓動は高鳴り、口から心臓が飛び出すほどの高鳴り始める。キュンと締め付けられ、切ないくらいの玲奈は、言葉が浮かばずにオロオロとしてしまう。  そんな玲奈の姿を見た彩人は、記憶を失う直前のことをうっすらと思い出す。それは、本能に目覚めた玲奈が彩人を小脇に抱えて連れていく姿を思い出した。 「玲奈ちゃん。」 「は、はい。なんですか? 彩人くん……」  自分の部屋のベッドの上で、モジモジとしながらも彩人の返答を待っていた玲奈は、彩人の言葉に驚いてしまう…… 「玲奈ちゃんが連れ込んだの?」 ギクッ。  彩人のさりげない質問が、一気に玲奈の乙女部分が警鐘を鳴らす。確かに、意中の相手を引きずり込むのは、獣人のメスとしては合格だったが…… 『バカ力〈ちから〉の女って思われちゃった?! そうよね、男を抱えて連れ込むとか……ううっ』  頭を抱えたり、どこが悪かったのかと、自問自答する玲奈はコロコロと表情が変わる。それを見た彩人は思わず…… クスッ 「あっ、笑った!」 「あ、ごめんごめん。あまりにもコロコロ表情が変わるから、かわいくて……」 「えっ?!」 『かわいい?!』  玲奈の乙女部分が喜びを上げる。それは、乙女にとって“かわいい”という表現は、一度は言われたい言葉のひとつ。収まりかけていた高鳴りが、一気に復活する。そして、玲奈のおなかの大事な部分が、ムズムズと活動を始める。  目の前でクスクスと笑う彩人に、玲奈はどんどん好きになっていく。 『や、やっぱり。私、彩人くんのこと……好き……』  彩人のことでいっぱいになっていた玲奈は、もう歯止めが利かなくなっていた。そして、その勢いを利用して…… 「あ、あ……」 「ん? どうした? 玲奈ちゃん」 「彩人くん!!」 「は、はい。」  引きこもりの玲奈の初めての恋。そして、発情期。その上、告白という。初めてづくしの玲奈の想いは、口をついて彩人へと伝えられる。  告白と一緒に、心臓が出てしまうほどの高鳴りのまま、呼吸を整えつつ、一気に言い放つ。 「付き合ってください!!」 『言っちゃったぁぁぁぁぁ!!』  高鳴る鼓動は、体から飛び出しそうなほどに、玲奈を突き動かす。そして、彩人はひとつの答えを告げる…… 「玲奈ちゃん……」 「は、はい。」 「……。ごめん」 「えっ……」  見事にフラれてしまった玲奈。  それから、いろいろと説明をする彩人の言葉は、全く頭に入らず。放心状態になってしまう玲奈。何気に、重要な内容も入っていたにもかかわらず…… 「互いのことを知らないのに、いきなりは……ね。だから……」  彩人の断りの言葉を受けた玲奈は、ショックのあまり暴走を始める。それは、途絶え途絶えに聞き取れた“互いを知らない”という言葉を拡大解釈を始める。  その解釈をもとに、自分の部屋。そして何よりも邪魔が入りそうにないこの状況が、玲奈を突き動かす…… 「互いのことを知らないのなら……」 「えっ?」  ベッドに腰掛けて玲奈と話をしていた彩人。二人の間には数メートルは空いていたはずの距離を、瞬きをする間もなく一気に距離を詰める。  それは獣人である玲奈の、“本能”が優先されたオスを求める行動そのものだった。玲奈の脳裏には、こんな思いが巡っていた…… 『彩人くんをほかのメスに取られるくらいなら……』  自分勝手なそんな想いは、体を突き動かし彩人をベッドに押し倒す。逃げられないように、両手両足を使い彩人に馬乗りになる。  それは、体の欲求が勝ってしまった玲奈は、理性のブレーカーがどこかへ吹っ飛んでいった。おりしも、部屋着はちょっぴりおしゃれなスカート。しようと思えばできてしまう。 「し、しちゃお。互いのことを知るために♡」 「えっ?! ちょっと待って、玲奈ちゃん?!」  馬乗りの状態で、ゆっくりと近づく玲奈の口と彩人の口は、もう数センチで触れ合うといったその瞬間。 「そこまでよ! 玲奈!!」 がちゃ! 「ん? なに?」  勢いよく開いた扉から入ってきたのは、綾乃だった。その手に握られていたのは、針こそついていなかったものの、小さな注射器が握られていた。 「玲奈。いい加減にしないと、するわよ?」 「えっ?! 綾乃?!」  一気に理性を取り戻した玲奈だったが、言い訳できる状況ではなかった。彩人に馬乗りになり、本能に突き動かされ、今まさに“行為”を始めようとしていたのだから…… 「あ、綾乃。ま、待って。この状況でそれは……恥ずかしい……」  一気に血の気が引いた玲奈を他所に、綾乃は冷静に彩人に対して指示を出す。それは、玲奈にとってはうれしいことだったが…… 「彩人くん。」 「はい。」 「玲奈を抱きしめてあげて。その子にとって、それが一番幸せだから……」 「えっ? は、はい。」 「あっ、ちょっ。彩人くん?! あっ♡」  そこからの綾乃の手際は、さすが風紀委員長と思うほどに見事だった。 「あっ、ちょっと、綾乃。この状況でそれは、はずか……し……」  お尻を突き出す形で、彩人に抱きしめられていた玲奈の後ろに回り込み、お尻に手をまわす綾乃。下着をそっとずらすと、勢いをつけ…… プスッ♡ 「あっ♡」  大事な人の腕の中で、女の子の大事な部分に突き立てられた注射器。玲奈の脳裏には、それだけでユリの花畑が咲き渡るほどの快楽。  ゆっくりと送り込まれる鎮静剤は、ほんのり暖かく、玲奈を幸せな気持ちにさせ、自然と体を震わせてしまっていた。 『あ、あぁ……』  小さな注射器の中に入った鎮静剤の注入を終えた綾乃は、ニコッとして彩人に終わったことを知らせる。そして…… 「えいっ♡」  深々と入った注射器を勢いよく抜く玲奈。まるで“ぽんっ”という音が聞こえそうなほどに鮮やかだった。そして……とてつもない快楽を味わった玲奈はというと…… 「あっ♡」  優しく下着を戻した綾乃は、ゆっくりと離れた後、玲奈はガクッと力なく彩人の上に体を預ける。プルプルと震えつつ、彩人の方を向きながらも、その手は下腹を撫でていた。 「だ、大丈夫? 玲奈ちゃん」 「う、うん。へ、平気。でも、ちょっぴり。しあわせ♡」 ガクッ。  彩人に抱かれながらの制裁。玲奈にとってはある意味ではご褒美に近かったが、制裁であることには変わりなかった。  そして、玲奈の脳裏に咲いた一面のユリの花の中、一輪のユリがはらりと落ちたのだった。  心配になった彩人だったが、耳元ではしっかりと玲奈の呼吸が聞こえ、一安心したのだった。そして、綾乃が一言。 「いい? 彩人くん。」 「はい。なんですか?」 「今のことは、忘れてあげて。玲奈にとっても、忘れたい過去になるだろうから……」  真っ赤になりながら話す綾乃のその言葉で、すべてを察した彩人だった……  それから彩人は、この前と同じように玲奈をお姫様抱っこすると、保健室へと運んでいく。そして出迎えた瑠香は…… 「今年もかぁ~」 「えっ?」 「いや、年に数人はいるんだよ。こういう、恋心と性欲をはき違える子。」 「そうなんですか……」 「で、彩人くんがやったの? 鎮静剤。」  二人の会話の中に割って入るように否定する綾乃。 「なっ?! させるわけないでしょ! 先生!!」 「まぁ、そりゃ、そうか。」  いつものように冗談交じりに話す瑠香は、彩人の手に渡す。それは、綾乃が持っていた鎮静剤の入った注射器だった。 「ほい、これ。」 「これ、なんです?」 「注射器さ。」 「それは、見ればわかりますが……これを、どうしろと?」 「彩人も風紀委員になったんだろ?」 「はい。それが?」 「だったら、それ。持つ資格あるからね。」 「なっ?!」  小さな注射器を渡された彩人は、その使い方を知らず、首をかしげる一方だったが、使い方を熟知している綾乃は、本当にいいのかと不安になる…… 「本当にいいんですか? 彩人くんに持たせて……使い方だって、わかってないのに……」 「じゃぁ、練習台になる?」 「ばっ、な、何を言ってるんですか! 先生!!」  “練習台”という単語に、一気に何をするのかわかってしまった綾乃をしり目に、ニヤニヤとしながら綾乃の横に移動した瑠香は、耳元で饒舌に語る。 『私も学生のころ、されたんだが……。やっぱりいいぞ。異性からの鎮静剤……』 『なにしろ力加減わからない上に、ぐりぐりするもんだから、変なスイッチ入るんだ……』 『そんな中、鎮静剤を入れられてみ。腰が砕けるから……ふふっ。』 「んんんん!!!!」 ぼん!  瑠香の説明のひとつひとつから、何をどうされているのかが想像できてしまった綾乃は、耳まで一気に真っ赤になってしまう。  それに合わせ、その光景が脳裏をよぎってしまったことで、自分が練習台になり彩人にしてもらっている図を想像してしまった綾乃。  ひそひそと話していたこともあり、彩人からすれば、目の前で一機に真っ赤になる綾乃が心配になり声をかける。 「大丈夫? 綾乃さん……」  心配そうに彩人は、綾乃の肩に手を置く。それは自然な行動だったが、その全てが脳裏をよぎった“練習台”のシュミレーションへと帰結していた。  そのため、必死に自分をごまかすために綾乃は、とっぴな声が出てしまう…… 「ひゃい! だ、大丈夫だから。気にしないで。」 「ほんとに? 本当に大丈夫?」 「大丈夫だって!」  ニヤニヤとしながらも、学生のころの自分を重ねていた瑠香は、窓際に腰掛ける。 『まぁ、その異性は今の旦那なんだけどね……』 『と、これは、二人には内緒。かな? ふふっ。』  瑠香の目の前では、まるで幼い時期に瑠香と今の旦那と出会ったころを彷彿とさせる光景が広がっていた。  綾乃の心配をする彩人と、大丈夫だからと、必死に練習台を想像してしまった自分を否定しているほほえましい光景だった。 『ほんと、あんたら、いい夫婦だよ。」 「だから、大丈夫だってば!」 「鎮静剤うつ? 手伝うよ?」 「はぁ? 何言っちゃってんの? もう! 知らない!」 「綾乃さ~ん」  ぷいっと彩人に背を向け、彩人の声に振り向こうとしない綾乃の脳裏には…… 『彩人に打たれたら、抜け出せなくなるから無理!!』  そう思い始め、ちょっぴり恋心が芽生え始めていた綾乃だった。
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