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レスカ『……なんなんだ。一体……』
ロザリア『あいつホンマに人間か?サイボーグかなんかやないの?』
レスカ『忠犬だとは思っていたが、ここまで他に無関心とはな…』
ロザリア『……AIBOか?あいつ……』
アメリア『そんな事を言ってはAIBOに失礼です』
ロザリア『そっちかい!!って、アメリア!!どうやったん?』
アメリア『授業が終わってすぐ、理事長室に直行しました』
レスカ『そうか…。張り込みは無理か?』
アメリア『申し訳ありませんが、勘付かれる可能性があります。少し時間を置いたら、また行ってきます』
レスカ『そうか。それもそうだな』
ロザリア『蕾の奴大丈夫やねんな?結構ストレス溜まってそうやったし…喧嘩にならんといいけど…』
レスカ『………蕾がキレる所はあまり想像出来んが……。ああいう普段大人しい奴はキレると怖いというからな』
アメリア『…その心配はないかと。実は将也さんを追って理事長室の前に来たとき、少しの間、中の様子を探っていましたが、蕾さんの生体エネルギーは通常値でした。元々温厚な方ですし、よっぽどの事がない限り大丈夫でしょう』
ロザリア『……よっぽど……ねぇ;;』
レスカ『すでによっぽどの事をしてそうだがな…』
アメリア『!!……将也さんが動いたようです。私は引き続き張り込みを再開します』
ロザリア『お、おぅ…。頑張ってなあ』
レスカ『頼むぞ…』
アメリア『はい。では』
ロザリア『……根本的解決……どないする?』
レスカ『将也は親しい奴はおろか趣味すら分からん。ここまで謎の多い奴は初めてだ…』
ロザリア『これってあれか?砂漠の中からアンモナイトを探し出すより…ってやつ?』
レスカ『……違うだろう…。砂漠じゃなくて砂浜だ。なんだアンモナイトって…どこから出てきた。でもまあ、ニュアンス的には間違ってないな』
ロザリア『…なんやもう…めんどいなあ。どうでもええねんて。砂漠も砂浜も将也も』
レスカ『お前まで匙を投げてどうする…。ん?あれは……雪菜?』
ロザリア『んあ?…!そうや!雪菜やったらなんか知っとるんとちゃう?事件の時、よく理事長室に出入りしとったし』
レスカ『あまり期待は出来ないが…聞くだけ聞いてみるか』
雪菜『え?将也さんの事?』
レスカ『ああ、何か分からないか?趣味とか好きな物とか』
ロザリア『どんな小さい事でもええねん!』
雪菜『え…。ん~、よく本を読むみたいだけど』
ロザリア『本?どんな?』
雪菜『えと……《下僕を飼い馴らす方法》だっけ』
レスカ『…聞かなければ良かったな……』
ロザリア『あいつ、いつか学園乗っ取るつもりやないか?つか、下僕って誰やん!!』
レスカ『流れ的に私達生徒だろう』
ロザリア『はあ?!(怒)舐めんなや、あのひょろりん野郎!!土下座させて謝らせた後、足の指の間まで舐めさせたる!!』
雪菜『あ!でもでも、たまにお料理の本も読んでたよ!!お料理好きなんじゃないかな』
レスカ『……り、料理?』
ロザリア『………(想像中)な、なんか違和感どころか異物やな…』
レスカ『異物……確かにな……。違和感が具現化したような光景が頭に過ぎった…』
雪菜『(な、なんか、凄い言われよう…)お料理の事だったら柚希に聞いてみたら?もしかしたら将也さん、柚希と何か話したかもしれないし』
ロザリア『せや!料理と言えば柚希やな!!雪菜、おおきに!!』
レスカ『引き止めて済まなかったな』
雪菜『ううん、頑張ってね!(何してるのか分からないけど)』
……―
…―
ロザリア『あ!柚希!!』
柚希『へ?あ、ロザリアとレスカ。どうしたの?』
ロザリア『将也の事知らへん?』
柚希『将也さん?理事長室にいるんじゃ…』
レスカ『ロザリア、いろいろはしょり過ぎだ。実はな…』
………説明中…………
柚希『そうなんだね。将也さんて、蕾さんの事になると人が変わっちゃうからね』
ロザリア『…なんや含みのある言い方やねんけど、将也の本性知っとったりするん?』
柚希『?本性…かどうかは分からないけど、みんなが言うほど酷い人じゃないよ?』
レスカ『ほう…聞かせてくれないか?』
柚希『うん。多分、蕾さんが言ってる事って、雪菜の事件の処分の延長線の事だよ』
ロザリア『?雪菜の事件の処分?』
柚希『将也さん、あの事件から学区内の見回りを強化して、雪菜のイジメに加担していた人達を近付けないようにしてるみたい。それでこの間、学区内に侵入して雪菜を探してる楓華学園の生徒を見つけて、追い出したの』
レスカ『…それじゃ、《やり過ぎ》は?』
柚希『将也さん、最初は口で注意してたらしいんだけど、あまりにもその生徒がしつこいから、武力公使に出たんだって』
ロザリア『んで案の定、そいつらが返り討ちか…将也の奴…』
レスカ『剣道部の主将だしな。蕾のためと言うのは大方、事件処理のいざこざを学園に持ち込ませたくなかった…と言ったところか』
ロザリア『なんや、それ聞くと見方変わるなあ…ただのストイック野郎と思っとったのに。結構、いい奴やねんな』
レスカ『ああ…ところで柚希、それを誰から聞いたのだ?』
柚希『この間、お料理を教えてあげた時に本人から。蕾さんには内緒にしてくれって言ってたから、二人には大丈夫だと思って』
ロザリア『…やっぱり料理好きなんか、あいつ…』
レスカ『いよいよ、異物だな』
柚希『そう?将也さん、すごく手際良いし飲み込みも早いし。やっぱり誰かのために作ってあげたいと思ってる人は一生懸命だよね!』
ロザリア『……それって、遠回しにユリアにダメ出ししとるんか…?』
レスカ『……柚希もさりげない毒吐きか……』
柚希『?』
ロザリア『しかし、誰かの為…ねぇ。一人しか思いつかんな』
レスカ『ああ、そうだな。因みに何を教えたんだ?』
柚希『クスクス』
ロザリア『柚希、普通の顔で笑うなや。怖いねんて…;;』
柚希『笑ってないよ!クスクスっていう料理!東南アジアの料理だよ』
レスカ『……なぜそれをチョイスしたんだ;;』
柚希『語呂が気に入ったって言うから』
ロザリア『なんや…一気に醒めてきたな…』
レスカ『ああ、全くだ』
レスカ・ロザリア『『私(ウチ)の感動を返せ!!』』
柚希『な、なんで怒ってるの…;;?』
アメリア『…そうですか。新たなフォルダを作成し、付け加えて置きます』
ロザリア『フォルダ作成せんでええよ。適当にくっつけとき』
アメリア『了解』
レスカ『しかし、蕾になんて言うのだ?聞いた話は蕾には秘密なんだろう?』
ロザリア『そやな。あいつにもプライバシーはあるしな』
アメリア『そういえば…その事で蕾さんがお話があるそうです』
ロザリア『蕾と接触したんか?いつの間に』
アメリア『将也さんが理事長室を出てすぐ、対面しました』
ロザリア『どうやったん?機嫌悪かった?』
アメリア『いえ、とてもニコニコしていました。それで、お二人に報酬を渡したいので呼んで欲しいと言われまして』
レスカ『……その笑顔、微妙に引き攣ってたか?』
アメリア『いえ、本心から喜んでいるようで、おかしなエネルギーは感じませんでした。…何かしたのですか?』
レスカ『い、いや…そうか、すぐに向かおう』
ロザリア『なんや…ウチ、怖い……』
蕾『皆さん!お疲れさまでした』
レスカ『あ、いや。随分と機嫌が良いが…その、どうした?』
蕾『?皆さんが将也を説得して下さったのでしょう?さっき、将也が謝罪に来てこれからは行動を控えると言ってきたんです』
ロザリア『……アメリア、なんて言ったんや(小声)』
アメリア『自己満足、身勝手、迷惑、無自覚、話にならない』
レスカ『…喧嘩を売ってるような単語が聞こえたが…』
アメリア『まだ記録していますが…』
レスカ『…いや、いい……;;』
ロザリア『……結構、傷付きやすいんやなあ、あいつ…』
レスカ『デリケートだな』
蕾『?皆さん、本当にありがとうございました!暫くは平和に過ごせそうです。あ、これ。報酬です』
レスカ『……いや、その……全く解決していないと思うのは私だけか?』
ロザリア『ええやん!くれるゆうなら貰っとこ!おおきに~!』
アメリア『ありがとうございます』
その頃……
将也『見回りをさらに強化する!不審な者を見かけたら、問答無用でつまみ出せ!』
生徒『『はい!!』』
将也『蕾さま、俺はめげません!見ていてください!!』
……蕾の憂鬱はまだ続きそうです………;;
END