鳥に会えない物語 01
どこまでも広く続く、荒廃した世界。
雲一つない青々とした大空も、こんな場所では虚しいだけだ。
「今日はどこまでいくんだい?」
私の唯一の友人、シューちゃんが問いかける。
「うーん、どうしよっか。まっすぐ進めば、その内何かあると思うんだけど」
「スズナはいつも適当だね。そんなんだから迷うんだよ」
「いーじゃん、迷っても。どうせチズなんてもう無いんだし」
「それもそうだね。なら、あっちの方はどうかな」
「そっちに何かあるの?」
「うん、何となくだけど。そんな気がするんだ」
「えー、またいつものやつ?」
「いつものやつ」
「ま、いっか。じゃあ、出発しんこーだ」
きっかけは、何だっただろうか。
はっきりとは思い出せないけど、大した理由じゃなかったと思う。多分。
あれは本当だ、あれは嘘だと、言い争いになったとか、そのくらいの理由だったはずだ。
なんでそんな言い争いになったのかまでは覚えていない。
ただ覚えているのは、この旅の目的。
私たちは、"サイハテ"を目指して歩き続ける。
「それで、サイハテにはいつ辿りつけるのかな?」
「うーん、分かんないや」
そもそも、サイハテがどこにあるのかを、私は知らない。
何でも知ってるはずのシューちゃんも知らないらしい。前にそう言っていた。
けどサイハテにはオオトリ様が居て、オオトリ様はすごく大きいからそれで分かる。はず。
オオトリ様に会うのが私たちの旅の目的だ。だから、私たちはサイハテを目指す。
「でも、歩き続ければいつか辿り着くって、そう聞いたから。きっともうすぐ着くんだよ」
「スズナの言葉が正しいなら、もうオオトリ様が見えてないとおかしくないかい?」
「いーいーのー、きっとオオトリ様も寝てるんだよ」
「オオトリ様は昼間に寝るの?」
「うん、そうだよ。きっとそのはず。オオトリ様だって生きてるんでしょ?なら、お昼寝くらいする日もあるよ」
「ふふっ、そういうことにしておこうか」
「もー、何その言い方ー」
妙に上から目線なシューちゃんにぶーぶーと文句を言っていると、ブタさんみたいだと言われた。
おこだ。私はオニさんになってやる。
がおー、と脅かしてやると、笑いながら逃げられた。
オニさんは足が遅いので追いつけない。ごめんなさい、置いていかないで。
今日も気ままな旅路は続く。
多分、きっと、なんとかなるよと言いながら。
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