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異世界サイコロ旅行
2018年12月23日 13:00
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閑話 あーちゃんの秘密①

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閑話 あーちゃんの秘密①


 ここは暗いね。お腹も空いたし、もうずいぶん歩いた気がする。出口まだかな。ねぇ、聞いてる? トリスタン。

「情けないな、あーちゃんは。もうすぐだよ、ほら、見えるだろ?」

 トリスタンの指さす先に小さな光が見えた。

「ここを出たらピザを食べよう」

 じゃあさ、トマト水おごるからおんぶして。痛っ! んもう、冗談だよ。拳骨はやめて。
 だんだん光が近づいてきた。よし、頑張ろ。でも足が重いよ、どうしたのかな。本当におんぶして欲しいかも。

「どうしたのさ、あーちゃん」

 ごめん、なんだか進めないんだ⋯⋯。あっ! トリスタン、見て! 誰かが、誰かが僕の足を! 
 足元を見ると、骨ばって枯れきった細い手が足首を掴んでいた! 掴むどころじゃない。めり込んで血が止まりそうなほどの握り方だ。 
 引きはがしてやる! 足に力を込め、粘着質な深い泥の中を行くように精一杯進む。すると黒いボロ布にくるまれた亡者が、這いつくばって暗闇から引きずり出てきた。その顔は、 

 トリスタン!

 嘘でしょ!? なんで、どうしてトリスタンなの!?
 顔面蒼白、見上げる目は怨みに燃え、抜け落ちた歯の間から泡が⋯⋯、気持ち悪い!  

 嫌だっ! 離せぇぇぇぇ!

 喉の奥からから血の味がするくらい叫んだ。もがけばもがくほど束縛は強まる。
 必死に光りの方を見れば、一緒にいたトリスタンはもう輝く出口の向こう。悲しそうに僕に向かって叫んでる。泣いてるの⋯⋯?  そしてそのまま光の中へ消えて行った。 


 僕はいつもここで確信する。これは夢だと。そしてあの光の中に行く資格はないのだ、と。自覚と共に力が抜け、地面も消えて亡者もろとも暗闇の底に落ちて行く。深いな、どこまで落ちるんだろう。

 これは僕の業の深さだ。

 エクシア王国現国王ユーサー・ペンドラゴン・エクシアの息子として、第一王太子として生まれた僕の。
 そしてトリスタンの顔を持つ亡者は、落ちながらも決してその手を離さないんだ。あの日々を許してくれとは言わないよ、トリスタン。




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コメント

juri 5年前
>勇者エクスコイザーさん
そ、そうそう。狙ってたー、それ。
トリスタンとえくすこたんの韻踏みー。す、すごいっしょ?
ミルキークイーン 5年前
勇者エクスコイザーさん、いつもありがとう!!!!
闇、かなり深いです。
そこに救いはあるのか!?
こうご期待!
勇者エクスコイザー 5年前
2222 EXC
なんだか闇が深そうだ。
とりすたん←こう書くとえくすこたんのお友達みたいに⁉️