【現在連載中】治癒魔法でも癒やせない君の心
絶対に治らない病に対して、人はどう向き合えるか。
それを導くのは、『触れた者の痛みを肩代わりできる』能力を持った少年。その名は大島浩輝。
大島は、その能力のせいで痛みの絶えない生活を送ってきて、痛みというものを嫌悪していた。そんなある日、毎日続く壮絶な痛みに支配され、生を諦めた少女と出会う。
この世界には、どんな医者にも治せない難病があった。それは肉体と精神を蝕み、自殺にまで追い込む。しかも、その知名度は決して高くない。つまりは……誰にも理解されず人を殺す、バケモノだった。
そのバケモノに、かつて大島も立ち向かい、屈した。何でも治してきたはずの大島が、この少女の痛みだけは治しきれなかったのだ。
だが、それでも大島は諦められなかった。彼女に生きて欲しかった。だからせめて、あと数日でもいい。彼女にどうにか希望を持って欲しかった。だから、二人は約束した。
「一年後、絶対に私を殺してくれるなら……この痛みから解放してくれるなら。まだ、死なない。大島さんも一緒なら、私はそれを希望と呼ぶよ」
その一年は余命だ。彼女の魂の寿命である。
彼女の生に希望を見出すためには、もはや来世に願いをかけるしかないのでは? と悪魔が囁いた。本当にそうなのか? その答えを探すべく、大島は一年を死ぬ気で駆け抜ける。