あいつは、頭だけを切り刻んでた。
キン…キン…
雨と風に混じり、剣と甲殻の弾ける金属音は…
まるで…
オーケストラのようにね…
その歌に合わせ…
あいつは雨の中で、踊りを踊ってる見たいだったよ。
時間は、少しのようで…すごく経ってたようでもあったわ。
風翔龍が頭と翼と尻尾をもがれ、ふらふらで逃げた頃…
あいつは、風の刃にズタズタにされて…
全身…もう見る影もなかったんだよ…
い…いつものように…
怒られるかと…
思ってました…
ば…馬鹿…
死んだら…怒るだけでは済まさないよ…
すみません…
僕はこんな事くらいしか…
あなたに抱かれて死ぬんですから…
僕は十分です…
泣いちゃったんだよね…
私。
無くしたくないと、心から思ったわ。
人間をね。
だからさ…
私が殺ったんじゃないんだよ…
水割りに…
綺麗な涙を一粒落として…
俺にそう話したんや…